汚職疑惑の前大統領と現職大統領の密談が暴露! 荒れるブラジル政界

延命のための奇策が逆効果になったルセフ大統領

 そもそも、ルセフ大統領がルラ氏を入閣させようとした狙いはルラ氏の逮捕を避ける為であるが、それ以外に、彼女自身の議会での弾劾請求から罷免に至ることを避ける為に彼にそれを委任する意向もあった。  しかし、結果的にはルセフ大統領がルラ氏を逮捕から逃れさせようとして取った行動にも批判が集まることになった。権利の乱用だとして政治裁判にかけるべきだという動きが再燃している。即ち、彼女を議会で罷免させようとする動きである。3月17日に罷免を求める弾劾請求が議会で受理された。そしてそれを審議する65人の議員も選出された。ルセフ大統領が最後の頼りにしていたルラ氏の入閣がご破算になった今、彼女の政治生命は末期症状を迎えている。  1988年にルラ氏が言った言葉がある。「ブラジルでは貧乏人が盗みをやれば刑務所に送られる。金持ちが盗みをやれば大臣になる」そして2016年には、社会で次の言葉が生まれた。「モロ(判事の追跡)を避けるためにルラは大臣になる」(参照「El Pais」)  今、この二つ言葉がブラジル全土を駆けめぐっているという。 <文/白石和幸  photo by Valter Campanato/ABr(CC BY 3.0 BR)> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
1
2
3