そんな中、大企業でないとなかなか投資がしづらかった社会主義のベトナムが、2015年7月に住宅法を改正した。これにより外国人でもコンドミニアムなどの不動産購入が可能になった。
日本でもベトナムの不動産購入・投資に関するセミナーなどが続々とPRしまくっている。
ハノイで不動産仲介を行う「
ハノイリビング」には最近ベトナム不動産購入に関する問い合わせの電話が増えているという。同社に勤める山中肇氏に話を伺った。
「今まではほぼ皆無でしたが、昨年12月ぐらいから週にひとりくらいの割合で問い合わせがあります。恐らく、日本のコンサル会社がパスポートひとつでベトナム不動産が買えるという広告を出したのが原因かと思われます。実際にはパスポートだけでは買えないんですけどね」
個人で購入する場合はベトナム入国印がある有効なパスポートを所持し、法人の場合はベトナムに支店などがあることに加え、双方とも有効な投資登録証明書を交付されていなければならない。山中氏が続ける。
「しかも、住宅法第161条では外国人が購入・所有できる物件数は1棟につき全戸数の30%まで、同一区域内で250軒までと定められていて、ほとんど買うなと言わんばかりの細かいレギュレーションになっています。支払い方法は現金もしくは外貨送金です」
左の白い建物が本文中の6000万円の物件になる(写真提供:ハノイリビング・山中肇)
ベトナムではこれまで銀行の信用レベルが低く、不動産購入は現金で支払われてきた。最近になって銀行が住宅ローンを始めているが、ベトナム人はいまだに銀行を信用しておらず、利用者はほとんどいない。そんなベトナムではどれくらいの額で不動産を購入できるのだろうか。
「昨年末に来社された方がホーチミンで投資目的に購入されたマンションが800万円ぐらいだったそうです。これは相当安いです。今月にハノイで販売開始された分譲マンションは日本円で6000万円くらいですね」