リーマン・ショック以上の危険性を秘めるドイツ銀行の危機回避を阻む複数の要因

photo by Immanuel Giel (CC0 PublicDomain)

欧米金融機関が渡るタイトロープ

 先月ドイツ最大の銀行であるドイツ銀行(Deutsche Bank)の2015年度の業績が67億9400万ユーロ(8832億円)の赤字となったことが公表された。同銀行の経営不振はこの数年語られていた。しかし、これは氷山の一角にすぎない。世界規模で現在の金融システムに問題があるのだ。(参照:「Bolsamania」)。 「現状は(世界金融危機を招いた)2007年よりも悪い。何故なら、この危機と戦うためのマクロ経済における必要な弾薬がもう尽きてしまっているからだ」と語ったのはカナダの経済学者で2009年にはOECDの理事長に就任したウイリアム・ホワイト氏だ。同氏によると、〈支払不能や倒産という危険が殺到しそうな中で、世界はなんとか存続して政治的そして社会的な安定を保っている〉というのだ。リーマンブラザーズの崩壊以後、そのショックの余韻から一旦回復すると、金融業界は超金融緩和策を取って大規模な景気対策を実行。金融市場に豊富な資金供給を展開させた。その結果、同氏が指摘しているように、〈国の負債や民間の負債が増大し、その規模は発展途上国でGDPの185%、OECD加盟国の間ではGDPの265%に相当する〉までに拡大している。そして今、〈この負債が返済できない状態になっている〉というのだ。(参照:「Telegraph」)。  例えば、〈ヨーロッパの銀行は既に1兆ユーロ(130兆円)の支払い滞納金を抱えているが、その中で発展途上国への融資は表には出せない程に多額の悪質な滞納に銀行は堪えているはずだ〉とホワイト氏は指摘した。そして、〈これから到来する景気低迷はこれら融資したお金がもう返済されることがないということを実証する機会になる〉とも述べた。即ち、債権者である銀行は永久に返済されることがない融資したお金の損失をどのよう調整して行くかというのが勝利者と敗者の分かれ目になるというのである。
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ドイツ銀行再起を阻む複数の要因
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