GDP成長率▲7.1よりもひどい日本経済の実態

発表された4-6月期のGDP成長率は年率▲7.1%。しかし、この衝撃の数値すら「在庫」という売れ残りの大量発生でかさ上げされた偽の数値にすぎない。このまま12月に迫った消費税10%増税の判断を安倍首相が誤れば、日本経済は完全に崩壊する!?

4-6月のGDP成長率▲7.1はまやかしにすぎない!大量の売れ残り発生で撃墜された日本経済!

(政治経済学者 植草一秀氏)
植草一秀

植草一秀氏

 消費税率が8%に引き上げられ、日本経済にどのような影響が発生したのか。8月13日に発表された注目の4-6月期の実質GDP成長率は年率▲6.8%。9月8日に発表された改定値では年率▲7.1%になった。  日本経済新聞などは、年初から「消費税増税の影響軽微」の大キャンペーンを展開してきたが、完全な誤報になってしまった。誤報というより、御用の報道であったというのが実情だが、あまた存在するエコノミストの大半が予測を外してしまったわけだ。  ところが、驚くのはまだ早い。このGDP統計の中身をよく見ると、増税の影響は▲7.1%どころの話ではないことが判明した。  GDPの構成項目の一つに「在庫」というのがある。GDP統計は「生産」の統計なので、生産したものが売れても売れなくても差別なくカウントされる。「在庫」というのは、売れ残りを表示するもので「在庫」が成長を押し上げた場合、当然喜んではいられない。  4-6月期のGDP統計では、この売れ残りがGDP成長率を5.5%ポイントも押し上げた。国内需要はGDP成長率を11.6%も押し下げており、さらに売れ残りの影響も加味すると、実態上のGDP成長率は、なんと▲17.1%に達してしまうのだ。

日本経済の崩落回避には’15年増税の凍結が不可避

 4-6月期の家計消費は年率19.5%減少した。住宅投資は35.6%、民間設備投資も18.8%とともに減少した。文字通り、日本経済は撃墜されてしまった。  安倍政権は「7-9月期から景気は持ち直し、景気回復を持続する」と主張しているが、まったく信用することはできない。  4-6月期の撃墜から立ち上がれない日本経済。景気の先行きを左右する決め手は、GDPの6割を占める家計消費だ。だが、この家計消費が7月以降も低迷を続けている。政府は7月の台風、8月の大雨の影響を強調するが、家計消費が激烈に悪化している主因は、天候ではない。家計の財布の中身が激減しているからである。 ⇒【後編】に続く http://hbol.jp/8170 【選者】植草一秀氏 シンクタンク主席エコノミストなどを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログは「植草一秀の『知られざる真実』」。著書に『日本の真実―安倍政権に危うさを感じる人のための十一章―』(飛鳥新社)がある
日本の真実―安倍政権に危うさを感じる人のための十一章―

「支配者の偽計と幻想」を見抜く!