最大の負債となったのは「美術手帖」などを発行していた美術出版社。昨年3月4日に東京地裁に民事再生法の適用を申請した同社の負債総額は約19億5600円。同社が発行していた「美術手帖」は新設法人に引き継がれたが、6月10日に事業を停止したパッチワーク通信社などは、「パッチワーク通信」など定期刊行物が事実上廃刊になったほか、同社が開催していた日本最大級のキルト展「インターナショナル・キルトウイーク」が中止に追い込まれるなど、国内外でキルト普及活動に勤しんできただけに、文化的なダメージも大きい結果になった。
今年は金融円滑化法後の資金繰り支援スキームの一つとして中小企業再生支援協議会が取り組んできた暫定リスケが終了するほか、経済産業省は信用保証協会の責任共有制度の見直しが進めている。東京商工リサーチは同報告で、このように倒産を抑制してきた政策の見直しが論議されているため、今後はよりシビアな事業性評価の目に晒されることとなると指摘している。そのため、これまで以上に市場性や出版業者としての有益性を問われてくることになり、他社との競争優位性を打ち出せない出版業者は淘汰の嵐に飲み込まれる可能性が高いとまとめている。
参照:
東京商工リサーチ
<文/HBO取材班>