「もっともブロックチェーンの恩恵を受けるのは金融。国際送金や決済などのコストを大きく圧縮できますから。信頼性が求められる金融関連では大手IT企業との提携が中心となりそうです。NTTデータや三井物産の子会社である三井情報などは着々と研究を進めています」(西川氏)
ただ、こうした大手IT企業だと既存のシステムとの入れ替えということになり、業績に与えるインパクトは小さい。また、大型株の場合、外国人投資家などの売り圧力が加わるため、爆騰しづらいという点もある。
「今、市場で注目されているのはテックビューロというベンチャー企業。同社と提携発表したことで、さくらインターネットやインフォテリアは高騰し、アイリッジ(東マ・3917)やロックオン(東マ・3690)、オウケイウェイヴ(名セ・3808)、SJI(JQ・2315)、フィスコ(JQ・3807)なども提携発表後に株価が高騰しました」(藤本氏)
ここで気になるのが、提携発表後、ストップ高連発した銘柄に上昇余力が残っているかどうかだ。
「第二のインターネット革命といわれるほどですから、もし業界標準となるプラットフォーム化が実現できれば、株価が400倍になったヤフーのような企業も出てくるはず。その意味でど真ん中といえるのが、大企業向けデータ管理ソフトを販売するインフォテリアです。すでに5000社以上への導入実績があり、さらに大きく広がる可能性があります」(同)
企業がこぞってインフォテリアのソフトを使い始めれば、売り上げ爆増が見込めるというわけだ。
「またロックオンはECサイト向け、アイリッジはスマホアプリ開発向けと特色があり、各分野でプラットフォームとなる可能性がある。直近の目標株価は提携発表前の10倍の株価です」(同)
今は短期筋の売買で株価が高騰しているブロックチェーン銘柄だが、実用化はまだこれからだ。
「ターゲットは2020年。五輪開催へ向けて海外観光客向け決済システムの整備が進み、他分野でもブロックチェーンの普及が進んでいくでしょう」(西川氏)
ブロックチェーンが本当に「第二のインターネット革命」となるのならば息は長い。ブロックチェーン革命の覇権を握りそうな会社を今から仕込み、株価400倍の夢を見るのもアリかもしれない。
◎インフォテリア【東マ・3853】
株価:1001円/目標株価:2500円
PER:―倍/PBR:5.48倍
テックビューロとの提携発表後に6日連続ストップ高。大企業向けパッケージソフト「ASTERIA」を主力とし5000社への導入実績。ブロックチェーン導入で納入先企業のコスト削減提案が可能になり、中小企業での利用が広がればさらなる市場拡大も
◎アイリッジ【東マ・3917】
株価:4100円/目標株価:3万7000円
PER:86.49倍/PBR:14.14倍
実店舗とネットを融合したマーケティング支援を行う。ユーザーの位置情報やポイント残高、電子マネーなどを利用するアプリ開発には高度なセキュリティが必要でコストもかさむ。しかしブロックチェーンの導入で安価に手軽に開発支援が可能に
◎ロックオン【東マ・3690】
株価:1853円/目標株価:1万2000円
PER:―倍/PBR:11.18倍
ECサイト向けのプラットフォームが主力。セール実施時期などに大量の注文が短期間に集中しても、ブロックチェーンならばシステムダウンのリスクを低減することが安価に可能。ECサイトの新たなプラットフォーム化を実現できれば売り上げ急増の期待
※株価などのデータは1月25日時点のもの
【西川 中氏】
暗号通貨取引所エクスチェンジ東京を運営。金融庁による暗号通貨関連の法案整備やブロックチェーン技術者の育成にも携わる
https://exchangetokyo.com/
【藤本誠之氏】
SBI証券投資調査部に所属するシニアマーケットアナリスト。オールアバウトの株式ガイドも務める。SBI証券で読めるリポートは信頼性が高く個人投資家から人気絶大