職場の「蛭子能収さん」タイプは、タフネゴシエーターの才能あり!?

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― 原田まりるの「エニアグラムで見るニュース」第8回 ―  穏やかな表情とギャンブル好きという過激な一面。どこか達観しながらも、人生相談に毎度「競艇ネタ」を絡めてくる、漫画家・蛭子能収氏のブーム再来である。テレビで見ない日はない程、バラエティ番組で重宝され、6月4日より初主演映画『任侠野郎』が全国公開されるなど、蛭子さんブームは衰える兆しがなく、破竹の勢いである。  そんな、穏やかでありながらもどこかダークな魅力のある蛭子さんを性格類型論・エニアグラムの視点から考察すると、典型的な“タイプ9のウイング8”だと言える。タイプ9というのは「平和主義者」であり、ウイング8というのは「権力者」である。つまり、“タイプ9のウイング8”というのは、「平和主義者」が性格のベースとしてありながらも「権力者」としての一面も持ち合わせているということだ。言葉にしてみると相反したタイプが入り混じっているので掴みどころがなく感じるが……。果たして、この“タイプ9のウイング8”とは一体どのような性格であるのか?

「怠惰」ゆえの「優しさ」を持つタイプ9

 まず、ベースとなっているタイプ9「平和主義者」の基本的な性格。平和主義者はその名の通り、争いごとが嫌いである。しかし、これは喧嘩が嫌いという文字通りの意味とは少し異なり、厳密にいえば、葛藤が嫌いなのだ。心がザワザワすることが苦手。  タイプ9「平和主義者」の特徴は、いつものんびりしており、マイペースな癒し系。人付き合いにおいては「自分がどうしたいか?」と自分の意見を相手にアピールするのではなく「相手はどうしたいのか?」という相手の気持ちを読み取り、相手に合わせるという接し方をとる。なぜそのような接し方をするかというと、自分の意見をゴリ押ししてその場の雰囲気が悪くなり心がザワザワするくらいなら、初めから相手に合わせておこうという平和的解決を好むからである。  しかし、この平和的解決法は、よく言えば「優しさ」であるが悪い言い方をすると「怠惰」でもある。自分の意見を出さず、常に相手に決定権を委ねるという接し方であるからだ。そして、この「怠惰」というのはタイプ9の特徴を言い表すキーワードでもある。

タイプ9と相反しそうな「権力者」の要素だが……

 そんな「平和主義者」的な性格をベースにもちながらもリスキーなことに闘志を燃やす「権力者」としての一面を持ち合わせるとどうなるか。答えは簡単。「あまり疲れたくないけど、リスクや刺激を好む」のだ。リスクや刺激が好きだけど、自分が疲れるのは避けたい。タイプ9ウイング8は、簡単に適度な刺激を得たいと考える人ということになる。  簡単に適度な刺激を得られる行為と言えば…まさしく“ギャンブル”が当てはまるだろう。タイプ9のウイング8は蛭子さんの他に、ムツゴロウさん、ウド鈴木さんが該当すると思われる。心優しく動物を愛でながらも麻雀で才覚を発揮するムツゴロウさん。天野くん思いで穏やかながら腕っ節が強いウド鈴木さん。いずれも優しさだけではなくダークな魅力も持ち合わせた人物である。
原田まりる

原田まりる

 尚、この「タイプ9のウイング8」は組織や職場においてネゴシエーターの才覚があると言われている。柔らかな物腰でありながらも、臆することなく大胆に切り込んでいく度胸があるため、どことなく“大物感”が漂っているのも特徴。  蛭子さんが万人に愛されるのは、癒しと刺激が醸し出す大物感が人々を魅了しているからなのかも。 <文/原田まりる Twitter ID:@HaraDA_MariRU> 85年生まれ。京都市出身。作家・哲学書ナビゲーター。高校時代より哲学書からさまざまな学びを得てきた。著書は、『私の体を鞭打つ言葉』(サンマーク出版)。元レースクイーン。男装ユニット「風男塾」の元メンバー。哲学、漫画、性格類型論(エニアグラム)についての執筆・講演を行う。ホームページ(https://haradamariru.amebaownd.com/