保有株式を“強制的”に低額で没収――MBOの落とし穴
2016.01.19
このような場合、アメリカでは、最も高い買収者に売らなければならないというルールがある(レブロン義務)。従って、1,000円以下というのはありえないのだが、東京地裁は平成27年3月25日、735円を100円引き上げて835円という決定を下した。少しは上ったが、依然として1,000円以下だ。 私がかつて体験したカネボウ事件では、会社側主張162円に対して、裁判所の決定は360円と120%増となった。また、レックス事件では、23万円が33万6,966円と46%増となった。735円の122%増なら1,631円と不動産の簿価を上回るし、46%増なら1,073円と、アメリカのルールはクリアしていることになる。 果たして、東京高裁は「世界標準」の決定を下すのだろうか。裁判の行方が注目される。【了】 【山口三尊(やまぐち・みつたか)】 1967年、東京都出身。私立麻布高校、中央大学法学部卒業。資格試験予備校講師の傍ら、カネボウ、レックスHD株をめぐる裁判で勝利。カネボウ個人株主の権利を守る会代表、アドバンテッジ被害者牛角会代表、東宝被害者の会、ローランド被害者の会代表。大渕愛子被害者の会世話人、不動産鑑定士試験合格。主にMBO裁判の経験をまとめた「個人投資家の逆襲~金なしコネなし知識なしの弱小投資家が判例100選に載るまで」を刊行。 記事提供:ムーラン (http://www.mulan.tokyo/) 新世代のビジネス・ウーマンのためのニュースサイト。「政策決定の現場である霞が関、永田町の動向ウォッチ/新しいビジョンを持つ成長途上の企業群が求める政策ニーズを発掘できるような情報/女性目線に立った、司法や経済ニュース」など、教養やビジネスセンスを磨き、キャリアアップできるような情報を提供している 【日本財政の『真実』】(1)~2015年度予算を読み解く http://www.mulan.tokyo/article/231/東京高裁の判決の行方は……?
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