消費税増税時に価格を維持した企業、それぞれの理由

4月1日から消費税が8%に上がった。各企業が一斉に値上げを行うなか、価格を上げたくても上げられない人々が存在する。ここで値上げしないとコストが増大して経営が危うくなるが、値上げすれば消費者や取引先は離れてしまう……。そんな中、価格を上げなかった企業にその理由を尋ねてみた。

消費税8%が日本経済に与える影響とは?

無印良品

無印良品

 消費増税に対し、利益減少を承知で価格を維持する企業も少なくない。  1個20円の駄菓子「モロッコフルーツヨーグル」を販売するサンヨー製菓は、同商品の価格を現状維持とした。 「もともと内容量が3.5gと少なく、0.5g減らしても明らかに減ったとわかるので、量も減らせません。ただ10%の増税では、商品当たりの割合を少し減らすことも検討中です」(同社担当者)  100円ショップの大半は今や「税込み108円」だが、ダイコクドラッグの100円均一コーナーは、増税前も後も「税込み100円」のままだ。 「利益は当然減少しますが、お客様のご支持も多く、集客効果も高いため価格維持としました。原価割れとなる商品も、数量限定の特売品として販売を継続します」(ダイコク広報担当者)  また無印良品は「わかりやすさ」も重視して、価格据え置きと総額表示の継続を決定した。 「増税で多少の混乱も予測される中では、売価をむやみに変えず、総額表示を継続することが、お客様に一番安心してご利用いただける方策と判断しました」(良品計画・広報担当者)  PB(プライベートブランド)商品の6割で価格据え置き・さらには値下げまで行ったマルイにも似た考えがある。 「PB商品はお客様の要望を取り入れ、改良や価格の見直しを継続中です。スーツの最も安い商品は、『買いやすく、わかりやすい価格に』との要望を受け2万8000円に約1万円値下げしたばかりです。増税でもわかりやすいぴったり価格を維持しています」(同社広報担当者) 「顧客目線」で価格を変えなかった企業の選択。消費者としては応援していきたいところだ。 取材・文/小山田裕哉 加藤カジカ 高島昌俊 古澤誠一郎