サラリーマン投資家が勝つための決算書裏読み術
2016.01.12
広がり続ける格差や給料頭打ちの経済情勢なぞどこ吹く風と言わんばかりに、アグレッシブに資産を増大させているミリオネア投資家たち。そんな彼らの独自の投資戦略、そして資産形成術と勝負のタイミングを知ることで、億超えへの道を探る!
【バリュー株 Gスイング氏】
・総資産1億円/投資歴9年
・直近1年の騰落率:+1000万円
【1】金融緩和から抜け出せない各国の財政状況
リーマンショック以降、危機対応の財政出動で先進国の債務は膨らんでいる。しかしながら、政策が金融緩和から引き締めに転じて金利が上がれば、債務の利払いに窮することになるので、「引き締めには踏み出さない」と見ている。
【2】リニア、東京オリンピックなど内需拡大
リニアは品川-名古屋間の工事が始まり、大阪までの延伸は決定事項。’20年の東京オリンピック開催に向けたインフラ整備もこれからが本番で、内需が拡大してくことはまず確実と思われる。とりわけ観光産業や建設が狙い目。
【3】インド経済やアジア、アフリカ経済の成長
足元ではアジアやアフリカなどの新興国経済は減速傾向にあるが、それらの国々が中長期的には再び成長が加速するのは必至である。それに伴うグローバルな需要の増加によって、日本企業の収益機会も拡大していくと考えている。
【4】資源安、技術革新でデフレが続く
「資源安→原材料コスト低下」「技術革新→製造コスト低下」で今後、国内の物価は上がらず、低金利政策も続くであろうことが予測される。大きな利益を求め、投資家による低利の債券から株へと資金流入が活発化すると予測される。
◎スミダコーポレーション(6817)
株価:769円
単元:100株
PER:8.11倍
PBR:1.02倍
車載、通信用のコイルを専門に手掛けるメーカー。自動車においてキーボタンを押すだけでの起動が標準化されれば絶好の追い風に、資源安もプラス
◎共和レザー(3553)
株価:946円
単元:100株
PER:12.20倍
PBR:0.87倍
トヨタ系列の合成樹脂製品メーカーで、原油安が原材料コストの低下に直結している。また、今後は自動車向けの高級シートの販売が伸びそう
◎萩原電気(7467)
株価:2011円
単元:100株
PER:8.79倍
PBR:0.70倍
電子部品・機器を取り扱う専門商社で、デンソーとトヨタ向けの販売が65%を占める。自動車ミラーの電子化に携わり、自動運転の〝隠れ銘柄〟だ
◎丸和運輸機関(9090)
株価:2282円
単元:100株
PER:18.08倍
PBR:2.43倍
小売業に特化した物流一括請負を展開。ネットスーパーの普及による業績拡大を期待。前職で取引があったので、同社の仕事ぶりも把握している
【億超えを確信した瞬間】
利益の一部を安全資産に移す方針を貫いたことから、資産が8000万円まで増えた頃には1億円も視野に。もっとも当初は「3000万円まで増えれば……」といった程度の目標だったとか。現在、株と預金の比率は6対4にしている。
【Gスイング氏】
投資歴8年、大阪府在住の50代男性。サラリーマンとして某企業で財務を担当しながら投資を始め、震災など大きな挫折も味わうが、自分の投資法を確立して復活し、’14年に専業にサブプライムショック発生直前の’07年、まだ日本株の上昇が顕著だった頃にGスイング氏は本格的に投資を始めた。もっとも、最初に成果を得ることができたのは株ではなく、J-REIT(不動産投資信託)によるものだった。
― ミリオネア投資家の(秘)戦略 ―
「’08年秋のリーマンショック直後、J-REITの価格は軒並み大きく下がっていたのに対し、利回りも8%超まで上昇していました。借金で調達した300万円も含めた500万円の元手を投じ、J-REITの価格が上昇に転じて大きな売却益を得られました」
読みがズバリ的中し、幸先のいいスタートを切ったものの、会社勤めを続けながらのトレードではなかなか本腰を入れられず。信用取引で追証が発生することも度々あったという。それでも気づけば、’11年の時点で資産3000万円までに増えていた。しかし、3月11日を機に流れは激変。東日本大震災の発生に伴う相場暴落で1500万円もの損失を被ってしまう。
「このままではマズいと気を取り直し、まずは住宅ローンの残債(1000万円)を繰り上げ返済しました。そして、残った500万円の元手で、投資に再チャレンジすることに決めました」
Gスイング氏が再起にかけたのはバリュー株投資。好業績が続きながらも株価が割安に放置されている小型株を中心に、数日~数週間保有のスイングトレードを繰り返すという投資手法だ。
「そういった地味な好業績の割安株は、決算が発表されてからじっくりと調べて買っても決して遅くはない。勤務先で長く財務の仕事に携わっていたので決算書を読み解けることを強みに、PER10倍台、配当利回り3%台といった銘柄個々の過去数年分の業績をくまなくチェック。そこで見つけた銘柄を割安な値段で仕込んでいたんです」
こうした自分なりの投資スタイルを確立したところで、願ってもない強烈な追い風も吹き始めた。’12年11月を起点とした“アベノミクス相場”だ。
「アベノミクスのおかげで、’13年には4000万円まで資金が増え、さらに’14年にはそれを8000万円に倍増できたことで、会社を早期退職して専業トレーダーになる決心もつきました」
好業績の割安株の中でも、Gスイング氏が特に注目するのは業績見通し上方修正の常習犯的な銘柄や、増配・自社株買いを実施する銘柄。決算発表後や配当・優待落ち、相場全体の動きに伴う“つれ安”など、企業業績とは無関係の下落時に買いを入れている。
「一時的なパニックで売られすぎている感の強い銘柄にも目をつけていますね。最近だと、フォルクスワーゲンの排ガス不正で無関係のマツダが売られたりしたケースが好例でしょう」
ただ、さすがに夏場のチャイナショックによる世界同時株安では、保有株をいったんすべて売って安く買い戻したものの、約600万円の損失を出した。とはいえ、それでも1億円超えを達成し、現在も増やし続けている。
「私の必勝法は4つ。①ここぞと思ったら全力で集中投資、②自分の必勝パターンを持つ、③利益の一部は安全資産に移す、④失敗しても破産しない程度の投資にとどめる。今後も株高がもたらされる要因もいくつか考えられますが、中国や資源国の波乱で株安も想定されるので、下落相場での空売りでも対応できるようになりたいです」
Gスイング氏が挙げる「今後の株高要因」
Gスイング氏注目の銘柄4選
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