高級百貨店サックスフィフスアベニューの電飾ウインドウは目を見張る規模
アメリカは現在、1年のうちで消費活動が最も高まる「ショッピングシーズン」の真っ只中。11月以降、量販店のセールスは順調に伸びており、ネットショッピングの売上高は前年比11%増の830億ドルが見込まれているという。
そんな中、全米一の大都市ニューヨークで、百貨店による「ディスプレイ戦争」が勃発している。ショーウィンドウのディスプレイはもはやただ美しいだけではなく、大掛かりな仕掛けを駆使し魅せる、まるで一つ一つのウィンドウがミニ劇場。百貨店はどこも競うように派手で斬新なディスプレイを展開しているのだ。
チャーリー・ブラウンのクリスマス物語を展開するMacy’s
マンハッタンの中心部、34丁目から35丁目と6番街から7番街にかけて所在する世界最大クラスの百貨店
「Macy’s(メイシーズ)」は、チャーリー・ブラウンとクリスマス物語の世界を展開し、小さな子供にアピールするディスプレイを行っている。百貨店東側のショーウィンドウすべてを使い、チャーリー・ブラウンとその仲間たちの世界を人形を使って表現し、それぞれの人形は電動で動く仕掛け。また南側のショーウィンドウでは、米国で伝説的に語り継がれているクリスマスの物語をやはり人形で表現している。その物語というのが「イエス、ヴァージニア」という有名な実話をもとにした物語で、1897年にヴァージニアという名の女の子がニューヨークの大手新聞ザ・サンに「サンタクロースはいますか?」という質問の手紙を出したというストーリー。ショーウィンドウには物語の中の文章もプリントされ、ウィンドウ全体が立体絵本のようになっているという仕掛けだ。
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立体絵本のような凝った展示が子供の目を惹きつける
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アメリカ人はピーナッツシリーズが大好き
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子連れ一家を引き止める力は強烈な可愛らしい装飾
1893リットルの水と2000本の氷柱で氷の城を作ったバーニーズ
60丁目とマジソンアベニューにある
「Barneys New York(バーニーズ・ニューヨーク)」では、氷の城を展示したショーウィンドウが人気だ。文字通り氷でできた城で、1893リットルの水と2000本の氷柱を使い、氷彫刻職人が3人がかりで、24時間毎日交代で2週間かけ創作されたもの。ウィンドウ内部は氷が溶けないよう、常に摂氏マイナス10から15に保たれているという。
しかしここのディスプレイはそれだけではなく、何と完成した城の隣のウィンドウで、氷彫刻の実演が行われている。これがなかなか面白いショーになっている。
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写真だとわかりづらいが精巧な氷の城が表現されたバーニーズのウインドウ
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氷彫刻職人3人がかり24時間交代で作り続けたとか
22万5000個の電球を使った光のショーを演出するサックス・フィフス・アベニュー
5番街の49丁目にある
「Saks Fifth Avenue(サックス・フィフス・アベニュー)」は、五番街沿いに並ぶ12箇所と北側、南側にそれぞれ8箇所あるショーウィンドウすべてを使ってやはり氷と光をイメージした美の世界が表現されている。さらにここのすごいところは、5番街に面する百貨店の壁全面を使って夕方から光のショーを開催していることだ。さまざまな色と強度の光の数々がBGMとともに光の城を浮かび上がらせ、幻想的な世界を紡ぎだす。22万5千個以上の電球が使用され、250人以上のスタッフにより1万時間以上を費やして製作されたもので、見応え満点だ。
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高級百貨店サックスフィフスアベニューの電飾ウインドウは目を見張る規模
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250人以上のスタッフが動員された大規模な仕掛け
この他、レキシントンアベニューと59丁目にある
「Bloomingdale’s(ブルーミングデールズ)」では、ショーウィンドウで「大画面自撮りサービス」を展開している。ショーウィンドウに設置されているスクリーンの前に立つと自動的に撮影してくれ、撮影された画面がショーウィンドウに現れるという、百貨店のショーウィンドウとしては他にない画期的なサービスになっている。また5番街と38丁目にある
「Lord&Taylor(ロード&テイラー)」では、電動仕掛けによってファンタジーの世界を表現したディスプレイが子供たちに人気。さらに5番街に面した百貨店の正面入り口前は、クリスマスツリーで造られた大きなテラスのようになっている。
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ブルーミングデールズは装飾に仕掛けたスマホで待ちゆく人の自撮りを提供
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待ちゆく人が自分を見に足を止めるといううまい仕掛け
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アメリカでも随一の歴史を誇るロード・アンド・テイラー
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電動の仕掛けでファンタジーの世界を表現する装飾に子供も大興奮
これほどあの手この手で費用と手間を掛けたショーウィンドウだけあって、各百貨店の前は連日の大盛況。ショーウィンドウを見るために大勢の人々が百貨店前に集まっている。サックス・フィフィス・アベニューの光のショーは、百貨店前と道路を挟んだ向かい側の歩道がまるで通勤電車並みの混雑となり、通行人は身動きが取れないほどだった。
ネットショップに押されつつあるとはいえ、ネットショップにはできない集客戦略であろう。
たかがショーウィンドウ、されどショーウィンドウ。さすがエンターテイメントの本場アメリカといったところか。
<取材・文・撮影/水次祥子>