「昇格決定で50%上昇、2年で5倍」昇格銘柄の見抜き方とは?
2015.12.07
メジャーな株は手が届かなくなってしまっても「お宝株」はマイナー市場で数多く眠っている!大化け必至の「出世期待」銘柄の発掘方法を調査した。
「東証1部の割安銘柄を見つけるのは難しくなったけれど、2部やジャスダックにならまだまだある。それが東証1部に昇格すると株価が一気に噴き上がるんです」
そう語るのは、サラリーマン投資家のv-com2氏だ。東証2部やジャスダックなどに上場する「地味」な銘柄の中から、東証1部にステップアップしそうな「お宝株」を発掘する投資法で“億り人”の仲間入りを果たした。
ステータスが高い東証1部に昇格すれば営業や採用がしやすくなるので、市場変更を狙う企業は多い。現実に昇格が決まると株価が急上昇するので、こうした銘柄に投資して値上がり益を狙うという。
実際、11月6日引け後に東証2部から1部への指定が発表された日新製糖(2117)は、翌営業日から株価が急騰。2週間足らずで50%を超える猛烈な上昇を記録した。
なぜ、昇格すると株価が上昇するのか。相場のイベントによる株価変動を利用して利益を狙う「イベント投資」に詳しい個人投資家、夕凪氏はこう説明する。
「東証1部に上場する全銘柄の時価総額を指数化したTOPIX(東証株価指数)には、連動する投資信託やETFなどが数多く設定されています。これらの商品は新しく東証1部に上場した銘柄に一定量を投資しなければならないため、大量に買われることが確実になる。その期待も伴って株価は上昇するのです」
昇格による上昇期待を利用したこの投資法は、日中は相場のチェックをできないけれど、「一発当てたい」と願う長期保有好きのサラリーマンにぴったりの手法にも見える。ところが、「予想された時期に昇格の発表がなければ逆に下がることもあるので注意が必要」とv-com2氏は指摘する。
「利益を大きくしたいなら、昇格しそうな銘柄を予測し、先回りして投資しておく必要があります」
昇格しそうな銘柄を事前に察知するには、どうしたらいいのだろうか。v-com2氏は、昇格候補にはいくつかの「兆候」が見られると明かす。
「わかりやすいのは株主優待の新設や拡充です。1部昇格には株主数や時価総額、流通株式数などの要件がありますが、優待を充実させれば個人投資家の人気が集まり株主数が増え、株価上昇で時価総額も大きくなる。一気に要件を満たすことも可能になるからです」
同じ理由で、流通株式数を増やす株式分割や立会外分売の発表も、有力なシグナルになる。
また、ジャスダックや地方市場から東証2部に市場変更してくる銘柄にも要注目だ。直接1部を目指すよりも、東証2部から昇格するほうが条件はゆるいため、2部を経由するのが昇格狙いの「王道パターン」なのだという。実際、名証2部から段階的に昇格して、2年で5倍になった銘柄もある。
「地方市場から移ってきたり2部にIPOした企業は、最低1年は2部に在籍する必要がある。最短での昇格を目指す意欲的な企業なら、2部への市場変更からちょうど1年で昇格できるよう準備を進めるものです」(v-com2氏)
一方、マザーズにも在籍10年で市場変更を求められる「10年ルール」があるので上場10周年が近い企業も狙い目というが、すでに値上がりしている銘柄も多くお宝発掘は難しくなるという。
ただし、わかりやすいサインを発する銘柄はすでに買われていて上昇していることも。このようなケースでは、予想された時期に昇格の発表がなければ逆に下がることもあるので注意する必要がある。
「地味な銘柄ほどインパクトが強く上昇幅も大きいので、2部やジャスダックで埋もれていたり、IPOして公募割れしたような不人気銘柄からいち早く発掘して投資すると大きな利益が狙えます」(同)
新たな昇格候補を発掘するため、v-com2氏は通勤中のスマホで東証の適時開示情報をチェックするのを日課にしているという。優待の新設や拡充、立会外分売や株式分割、市場変更といった上場企業が発表する重要なリリースが随時更新されているからだ。
要件は満たしていても、企業自身に意欲がなければ昇格はない。夕凪氏は、企業の投資家向け広報部署であるIRに電話して、昇格の意思があるかどうか直接問い合わせるのもおすすめだという。
「はっきり教えてもらえるわけではありませんが、担当者の口ぶりでわかることもあります」
とはいえ、昇格候補への先回り投資は長期で保有することになるので資金が拘束されるうえ、相場の変動にさらされることになりリスクは高まる。こうしたデメリットをカバーするため、v-com2氏は財務状態が良く割安な銘柄に絞ることが重要だと話す。
「株主優待を実施していれば、より魅力的。楽しみながら待つことができるし、株価も下がりにくい」
v-com2氏が昇格候補として注目しているのは、左表の3銘柄だ。中でも、綿半ホールディングスと大冷は最短で12月の昇格が予想される。
これらの銘柄は昇格サインが点灯したことですでに上昇し、サプライズとしては大きくないものもある。夕凪氏は、宝くじ感覚で大化けを期待するなら、1部への昇格条件を満たす銘柄の中からTOPIXの指数買いによる上昇インパクトが大きい銘柄を選ぶのもアリだという。そのなかで、株主優待を楽しみながら待てる銘柄として、帝国ホテル(9708)、マックスバリュ西日本(8287)、エスビー食品(2805)、中央魚類(8030)、広島電鉄(9033)を挙げた。有力な昇格サインが出ているわけではないが「当たれば大きい」銘柄といえるだろう。
サインの点灯を待つか、一か八かの勝負に出るか――。いずれにしても、「当たり」が出れば資産の額も「昇格」できそうだ。
【v-com2氏】
株主優待と昇格期待を組み合わせた割安株投資を得意とする。著書に『昇格期待の優待バリュー株で1億稼ぐ!』。「21世紀投資」(http://ameblo.jp/v-com2/)
【夕凪氏】
30万円で始めた株式投資で財を成し、’12年から専業投資家に。近著に『スタバ株は1月に買え!: 10万円で始めるイベント投資入門』。「ダントツ投資研究所」(http://www.geocities.jp/yuunagi_dan/)
取材・文/森田悦子
東証1部に上がれば株は必ず買われる
1部上場を狙う企業の昇格サインを見逃すな
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