いまも続く「過労自殺」 労災や損害賠償が認められる基準は?

過労死

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 過労による自殺者が後を絶ちません。日本の「過労死」は、国際社会でも問題視されてきました。過労死という言葉は、英単語「karoshi」として、オックスフォード英語辞典に掲載されているほどです。  最近では、仕事と私生活のバランスをとろうという「ワークライフバランス」の考え方が日本でも浸透してきましたが、過労自殺をめぐって遺族が企業に賠償を求めるケースは、今でも後をたちません。  自殺の原因は過労、つまり「労災」だと認めてもらうためには、どんな条件があるのでしょうか。

過労自殺が「労災認定」されるためには3つの要件がある

◎波多野進弁護士の回答  行政が発表している認定基準(過労自殺が労災認定されるための要件)は、次の3つです。 ①うつ病などの対象疾病を発病している ②対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められる ③業務以外の心理的負荷および個体側要因により対象疾病を発病したとは認められない  特に、②が重視され、長時間労働による心理的負荷が問題となります。連続して数か月間、100時間を超える残業をしているようなケースでは、原則として労災が認定されます。労災認定されると「うつ病が発症したことの原因は会社の業務」ということが推定されます。ですから、遺族が会社に対して損害賠償を請求した場合、裁判所に認められる可能性が高くなります。 <文・協力/弁護士ドットコム>
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