スパイ容疑で在中邦人が拘束! 中国で拘束されるとどうなるのか?

2009年12月に外国人へ開放された軍港の街「旅順」

 9月30日、日本人が中国で長期間拘束されていることが明らかとなり、日本全国に衝撃が走った。まだ確定情報が少なく、不明なことが多いが、拘束理由がスパイ容疑ということが衝撃に追い打ちをかけた。中国政府は昨年11月に「反スパイ法」を制定し、今回はそれを適応したという。  14日現在、中国で拘束中の日本人は4人であるということを中国政府も事実上認めている。  果たして、日本人が中国当局に拘束されるとどうなるのか?  2010年10月に大連市旅順で拘束された経験がある天津在住の日本人男性に、当時の状況を聞いてみた。

日本時代に建てられた旧大連甘井子消防署(軍管理地)

「2010年10月に旅順を観光で訪れて日本時代の中学校の校舎を撮影していたところ公安に拘束されました。旧校舎がある場所が軍管理地という理由でしたが、軍用地を示す看板は確認しておらず撮影禁止は認識していませんでした。取り調べは、連行された国家安全部で行われ、撮影した写真を現像するのに3時間ほどかかり、その間、名前や職業、旅順を訪れた目的などを聞かれました。現像された写真を1枚1枚見ながらこれはダメ、これはOKとNG写真はその場で削除されてSDカードを返してもらいました。その後、『今後は中国の法律を順守します』と一筆書かされて釈放されました。ですが、対応は終始丁寧で水も出してくれました」  男性が拘束された時期は、尖閣諸島沖で発生した中国漁船衝突事件で日中関係が悪化しており、拘束される少し前には、河北省で準大手ゼネコン「フジタ」の社員4人が拘束されたタイミングと重なり、国家間の関係悪化が取り締まり強化と連動していた時期だ。  旅順は、日清、日露戦争の戦場となった歴史を持ち、現在も海軍の軍港や基地があるため、長年、外国人観光客を制限してきたが、2009年12月に外国人へ開放して個人でも訪れることができるようになったという都市だ。  やはりここは中国。自分の身の安全を守るためにも軍用地や軍人、公安などをうっかり撮影して誤解されないように細心の注意をすることはもちろんだが、日本との違いなども頭に入れてことも重要だ。たとえば、中国では消防署は軍管理のため、原則撮影禁止など日本では考えられない違いもあるのだ。  現在、拘束が確認されている日本人は4人と報じられている。しかし、日中関係筋によると、今年以降だけで現在も拘束中の日本人は20人はいるという。つまり、今後、発表される人数は大幅に増えていく可能性がある。 <取材・文・撮影/我妻伊都(Twitter ID:@ito_wagatsuma