「チャイナリスク」関連倒産、4月から急増――東京商工リサーチ調べ

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 8月末に起きた上海市場の大暴落もまだ記憶に新しい中、10月2日に東京商工リサーチが2015年度上半期の「チャイナリスク」関連倒産に関する調査結果(速報値)を発表した。  同調査によれば、2015年度上半期(4-9月期)に「チャイナリスク」を要因とする企業倒産は40件(前年同期30件)にのぼり、前年同期に比べ1.3倍増となったという。  また、倒産には集計されないが事業停止や破産準備中などの「実質破綻」は9件(同0件)。両者を合算したチャイナリスク関連破綻は上半期49件(同30件)と大幅に増加したことがわかった。  倒産の増加スピード、3月までは9件に過ぎなかったものの4月以降に急増。先述したように実質破綻も含めると49件と圧倒的な増加を見せている。  倒産企業については卸売業が25件と全体の62.5%を占めた。また、負債額別では10億円以上が10件(同1件)と急増、チャイナリスクは中堅規模に影響が広がっていることがわかった。  また、この調査は、破綻の原因が以下の6項目のいずれかに該当するものを集計している。 1.コスト高(人件費、製造コストの上昇、為替変動など) 2.品質問題(不良品、歩留まりが悪い、模倣品、中国生産に対する不信など) 3.労使問題(ストライキ、工場閉鎖、設備毀損・破棄など) 4.売掛金回収難(サイト延長含む) 5.中国景気減速(株価低迷、中国国内の消費鈍化、インバウンドの落ち込みなど) 6.反日問題(不買、取引の縮小、暴動など)  この要因別で見ると、倒産要員としてもっとも多かったのが1のコスト高で、30件(全体の70.5%)にものぼった。もともと安価な製造コストや豊富な労働力が魅力的な中国だったが、経済成長に伴ってコスト上昇していることが要因となった。他には老師問題、売掛金回収難、中国の景気減速が各1件ずつ増加している。一方、6の反日問題による影響などは前年同期比は6件あったものの今回はゼロとなった。  今回調査では、中国の景気減速が要員の倒産は1件にとどまっているが、上海市場の暴落に見るように中国経済の成長にも翳りが見え始めており、今後の増加も予想される。 ※参照:東京商工リサーチ 「チャイナリスク」関連倒産 調査(速報値) <文/HBO取材班>