終身型 VS 定期型 医療保険はどちらがお得?

医療保険01 近年、ガン検診が推進され、生命保険よりも割安で加入できる医療保険への関心が高まっている。しかし、医療保険を選ぶ際、意外と見落としがちなのが、終身型と定期型の違い。現在の医療保険の主流は、一生涯保険料が変わらない「終身型」だ。保障が一生涯続くので、病気やケガが多くなりがちな老後のリスクに備えられるという利点がある。

意外にメリットの多い定期型保険

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終身型と定期型を併売している会社もある

 しかし一方で、認知度は高くないが「定期型」もメリットは多い。最大の利点は、病気やケガのリスクが小さい、若いうちは保険料が安いことだ。終身型は定期型と比べて老後の保険料は安いが、その分若い世代の保険料もならして平準化しているので、30〜40歳代の保険料は定期型より高い傾向がある。  こういった点からも、できるだけ家計を抑えたいという人にとっては、当面の保険料を抑えられる定期型が有利だ。また将来、再加入しやすい点も安心だ。自動更新の場合、同じ保障内容なら原則として告知義務はない。商品によっては90歳まで更新可能な場合もある。さらに定期型のメリットについて、某保険代理店の相談員は次のように話す。 「医療保険は第三分野の商品といって、まだ一般向けに販売されてから十数年しか経っていない。保障内容の改善も目覚ましく、年々手厚くなっているので、できれば保障内容は最低でも十年に一度は見直すことが大切。十年後と比べて現在の保険商品は見劣りする可能性が高いので、更新の区切りがあることは、保障内容を見直すきっかけになる」  確かに医療保険は保険料の安さだけでなく、手術給付金の対象範囲が広くなったり、三大疾病の入院保障が無制限になったりと、保障内容も年々刷新されている。近年はがんですら入院せずに通院治療が一般的になっているが、医療保険もそれにあわせて、日帰り入院や通院保障について手厚くなっている。日進月歩の医療保険は、「一生涯の保障が確保できているから安心」ではなく、新商品の保障内容と比べて、自分の入っている保険がどうかを定期的にチェックするのが理想だ。

定期型保険に新規契約を上乗せするのが賢い方法

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メットライフ生命「やさしくそなえる医療保険」(定期タイプ)と「終身医療保険 Flexi」で比較。男性、入院日額1万円。先進医療特約あり

 ただし、注意点もある。最大のデメリットは更新のたびに保険料が上がること。老後の資金計画への影響が心配なら、早めに終身型に移行するのも手だ。また定期型の場合、加入期間中に大きな病気にかかると、新規で別の医療保険に乗り換えるのが難しくなるが、「この点は終身型も同じ」と同相談員は話す。 「加入期間中に大きな病気になったとき、更新ではなく新たに別の医療保険に加入するのが難しいのは、終身型でも同じ。定期型の自動更新タイプをベースにしておき、更新時に保障内容が手厚い新商品が発売されていたら、健康状態に合わせて上乗せや乗り換えを検討すればいいだけ」  医療保険の定期型は一長一短あるが、それ以前にまだまだ認知度が低い。終身型の保険に入っている人は、一度、保険代理店に足を運び、定期型の保険をチェックしてみることをオススメしたい。意外にも、現在加入している保険よりも保障を厚く、保険料を安くできることが多いのだから。<文・図版/田中雅大> 【田中雅大(たなかまさひろ)】 ビジネス・マネー誌と家電情報誌が主なフィールドの編集・ライター。マネーは国内株、生保。デジタル系はスマホ、白物家電を主に担当。(株)ペロンパワークス代表。
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