安定した成長を続けるためにANAが実践している習慣とは?
2015.09.19
英国SKYTRAX社エアライン・スター・ランキングにおいて3年連続で世界最高評価「5スター」を獲得し、2007年、2013年にはエアライン・オブ・ザ・イヤーを受賞した日本が世界に誇る航空会社ANA。こうした評価が証明するように安定した成長を続けるANAには「チーム」という概念が浸透しており、それが社員全員を「共通の目標」に向かわせる原動力になっている。
そしてチームを一つにまとめるには「日頃の雑談が欠かせない」とANAビジネスソリューション講師・田口昭彦氏は語る。一見、作業効率を下げることにしか思えない雑談がなぜ欠かせないのだろうか? 9月1日に『ANAが大切にしている習慣』を上梓したANAビジネスソリューションの講師である田口氏に、その理由を聞いてみた。
「誰に対しても、いつでも、何でも話し合うというのは、実は航空業界では当たり前の習慣なのです」
パイロットの世界には「ハンガートーク」という言葉があり、これはハンガー(飛行機の格納庫)でパイロット同士が雑談に花を咲かせるという意味なのだそうだ。そして、この雑談の中で交換された経験や勘に基づく知識が「暗黙知」となり、時にアイディアとなり新たな事業展開のきっかけになったり、日常業務のエラーやミスの防止につながるのだという。「航空業界は安全が第一です。ささいなことでも、上司部下の分け隔てなく何でも“おせっかい”なほど言い合う文化が、結果的にさまざまな知識の共有につながっているのだと思います」と田口氏は語る。
自分の経験を積極的に第三者に話し、相手の経験を自分のものとして共有する。必ずしも、すぐに役立つ知識ではないかもしれないが、蓄積された暗黙知は、いずれ会社の血となり肉となるのだ。
スマホ全盛期を迎え、SNSを通し情報を交換する人が増えている。こういった状況は、ANAも例外ではない。「気の合う仲間同士での雑談では、得られる情報も限られます。そのためANAでは、積極的にさまざまな人と雑談のできる場を設けています」と田口氏は語る。
「お弁当を食べるスペースもそうですし、自動販売機のそばに小さなテーブルと椅子を置けば、そこが雑談のできる場になります。またANAでは、イントラネットを整備し、社内で広く情報を共有できるようにしています。ANAには派閥はないと言われていますが、◯◯会といった集まりが活発です。入社の年が同じ同期会はもちろん、空港ごとに会を作って、何かといえば集まって雑談のなかから情報を共有しています」
情報共有はもちろんのこと、こういった日常の交流が、社員の一体感の醸成に一役買っているようだ。
LCCの参入により、競争が激化する航空業界。そのなかにあって、知識や目標の共有に成功しているANAは、今後も社員一丸となって安定した成長を続けることができそうだ。 <文・写真/HBO編集部>
雑談は「暗黙知」の宝庫
雑談の場は積極的に作る
『ANAが大切にしている習慣』 秘密のノウハウを公開! |
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