経済危機にあるベネズエラ。トヨタも部品は「11月まで」。同国紙報じる

photo by María Alejandra Mora (SoyMAM) CC BY 3.0

 ベネズエラの窮状については世界的に良く知られているおり、筆者も6月25日配信の記事(ギリシャ危機の陰で報じられない「ベネズエラ」の窮状)で報じている。  1999年にクーデターを実行して政権に就いたチャベス前大統領が始めたボリバル社会主義革命だが、15年を経過した今、国の経済は完全に興廃している。今年のインフレは180%が予想され、最低限の生活必需品の多くが不足し、スーパーで買物をするにも毎日5時間の列に並んでの買物をせねばならないほどだ。外貨獲得源の95%は原油の輸出に依存しているため、昨年後半からの原油価格の急激な下落が同国の歳入減を強く招いているという背景がある。その為に、外貨不足から物品の輸入が大幅に制限されているのだ。  物価の上昇は激しく、最近5年間の物価上昇は1000倍と言われている。例えば、ベネズエラの代表紙の一つである『El Nacional』は<缶詰の価格は今年になって600倍の値上がりしている>と報じている。  とはいえ、これを報じている『El Nacional』も、他の多くの新聞と同様に紙不足から新聞の印刷発行が困難になっており、結果として電子版が主流になっているのだ。しかも、同紙はマドゥロ大統領政権を常に批判して来た立場にある名門紙であるが故に、政府が管理している外貨を手に入れることが尚更に困難で、在庫にある紙を少しずつ使って新聞紙を印刷している状態だという。

トヨタなど在ベネズエラの自動車企業を直撃

 その様な事情下で、同国に進出している日本の自動車メーカーも苦戦中だ。 『El Nacional』が報じたところによれば、<トヨタはクマナ市にある工場で生産に必要な部品の輸入に2万ドル(240万円)の外貨が入手出来たとして生産の再開を決めた><9月は21日間就労してフォーチュナーとハイラックスを160台生産し、その後2週間程度休業して残り160台を生産して11月が最終の納品とする>という。しかし、<11月以降の部品入手については明確になっておらず生産の目処は立っていない>という。  同記事では、トヨタ労働組合のカルロス・モレイ氏もコメントをしている。曰く、<「一日に10台以下の生産の部品は備えたが、以前は少なくとも一日60台は生産していた。時が過ぎて行くにつれて事態は悪化している」><「トヨタの現状は非常に残念だ。我々、従業員はドル不足によって引き起こされたテロを経験しているようだ。外貨が届かないことによって、問題を従業員は抱えることになり、会社側が工場を閉鎖するのではないか、或いは従業員の削減をするのではないかという不安を従業員は抱くようになっている」>とも語っている。  また、トヨタの広報担当のゴンサレス氏も<「11月までの就業が保障されているだけだ。経営者側は工場に11月前に部品が届くように充分に余裕の時間をもって外貨が入手出来るように政府に要請している。それによって12月21日まで就業が出来るようにする為だ」>と語っている。  ベネズエラにはトヨタ以外にフォード、GM、クライスラーも進出している。しかし自動車メーカーの部品不足は75%にまで至っているという。政府はその不足を補う為に国内の品質基準Coveninと国際ISO9000の取得の必要性を解除したという。しかし、そのような信頼に欠ける部品はどの自動車メーカーでも使えないのは言うまでもない。  ベネズエラの 自動車メーカーの苦境は今後も続く。 <文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身