カタログ値だけではわからない、同じ輝度のプロジェクターでも色がここまで違う理由
2016.09.21
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得意先へのプレゼン、社内会議での資料投写などビジネスマンにとって必要不可欠なアイテムになったプロジェクター。
しかし、ともするとこのプロジェクター、選び方によってはせっかくのプレゼンが台無しになるようなことも起こり得るので注意が必要だ。
特に注意したいのは「明るさ」である。必ずしも暗い部屋が確保できるとは言えない中、映像をきっちり映すにはそれなりの光量が必要になってくる。
カタログを見れば、各メーカーから出ているプロジェクターもビジネスユースを謳うものは輝度3000ルーメン以上が定番となっている。
しかし、このカタログに表された「輝度」が同じプロジェクターであっても、投写される画像が同じ明るさになるとは限らないことをご存知だろうか?
例えば、下の画像をご覧頂きたい。
もう一つ。
上の写真は、2種類のプロジェクターを用いて、同じ出力元の画像を投写した画像を比較したものだ。左のほうが暗く、右のほうは明るく見えるだろう。
果たして、左のプロジェクターの輝度は右のものに比べて低いのかというと、暗く見える左の画像を投写するプロジェクターが3200ルーメンに対し、右の画像を投写するプロジェクターは3000ルーメンなのだ。
なんと、右のプロジェクターのほうが左のプロジェクターより輝度が200ルーメン暗いのである。
なぜこんなことが起きるのだろうか?
プロジェクターのカタログで輝度として提示されている数字は、特に断りがない場合は「有効光束」と呼ばれるもので、「白の明るさ」で測定された情報なのである。ところが、この有効光束は、カラー、すなわち光の3原色を投写すると、プロジェクターの方式によっては、明るさが落ちてしまうのである。
実際にプロジェクターで画像を投写してプレゼンする場合を考えて欲しい。モノクロの資料でプレゼンを行うことは少ないはずだ。写真など色合いが重要なプレゼンだけではなく、パワーポイントの資料といえどもカラーを効果的に使うことが重要だ。にも関わらず、輝度3200ルーメンと書かれたプロジェクターで投写してもカラーの明るさが落ちてしまう……。それではカタログ値など意味がないではないかとお思いだろう。
そこで重視したいのは「カラーの明るさ=カラー光束」をチェックすることである。
「カラー光束」とは、光の3原色を投写した時の明るさの値で、プロジェクターの投写方式の一つである「1チップDLP方式」は、有効光束に比べてカラー光束が低くなってしまうことがあるのだ。その落差はかなりのもので、有効光束3200ルーメンのプロジェクターがカラー光束では1/3程度になってしまうこともあるほど。これが、上の画像における左画像のようなことになる理由である。
しかし、21年連続国内シェア第一位、15年連続世界シェア第一位というエプソンなどが採用している「3LCD方式」では、この有効光束とカラー光束にまったく差がないのだ。というのも、3LCD方式では光源から出た光は赤・緑・青の三原色に分解し、それぞれの液晶パネルを一色ごとに割り当てて透過させ、その光をプリズムで合成させてカラー映像を映し出すという方式だ。これだと切れ間なく連続的に赤・緑・青を合成した画像を投写しているため、色ごとに光のロスが発生しないのである。
その差は、実にカラーの明るさ・色域ともに最大で3倍もの差が生じるというが、実際に冒頭の画像を見れば一目瞭然だろう。(※右の画像が3LCD方式によるもの)
このカラー光束については、すでに2012年6月に評価基準が確立し、製品仕様に導入するメーカーが増えている。カタログを見る際は、有効光束だけでなく、カラー光束も確認し、その落差がない機種を選ぶことが重要なのだ。
<取材・文/HBO取材班 撮影/菊竹規 素材画像提供/菊竹規(木琴) PublicDomain(フルーツ)>
カタログに記された「輝度=ルーメン」の意味
重要なのは「カラー」の明るさ
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