ブランド品・高級品の「買い取り詐欺」の手口

ダイヤモンドの真贋を判定する「ダイヤモンドテスター」。客には嘘を教えて、本物なのに「偽物だね」と騙す。こんな初歩的なことにも案外引っかかってしまうとか

 景気がよくなってきて高級品、ブランド品を買いたいという人が増えている。しかし一方で、景気回復の恩恵を受けているのは一部の大企業のみ、やはりまだ不景気感は強く残っている。今はその両極端のニーズがある混沌とした時代となっている。  近年、スマホで不用品を出品したり購入できるオークションアプリも登場し、手軽に売りたい、買いたいというニーズが若者の間で高まってきている。こういった時代の流れを受け、ブランド品、高級品の買取・販売ビジネスを行っているのがM氏だ。これまでも投資詐欺や貴金属投資の悪徳営業などで荒稼ぎしてきた詐欺師である。現在、都内の繁華街に店を構え、悪質な買取と販売を繰り返しているという。 「ターゲットは高齢者が持ってくる金やプラチナ、ダイヤモンドなどの貴金属品。例えばダイヤモンドの真贋を判定する『ダイヤモンドテスター』というのがあって、このテスターの先端のピン部分をダイヤモンドに押し付けると、本物であれば緑色の光がついて『ピー』と音が鳴る。人工ダイヤモンドやガラスの場合には反応せず、赤色もしくは黄色の光がつく(メーカーにより色は違いあり)。持ち込んできた客には『このダイヤがニセモノだと音が鳴ってしまうんですよ。ちょっと試してみましょうね』といってやると、当然『ピー!』(笑)。あちゃ~、このダイヤは偽者、または粗悪品ですねといって、ほぼタダで買い取るんです。あとは高級腕時計だね。案外金持ちのほうが、本来100万円で買い取るような高級腕時計を、数万円で手放してくれたりするからカモにしやすい」  一等地に店を構えたり、テスターなど小物を揃えて、客を騙すための“演出”をするのは序の口。キャバ嬢やホステスが持ってくるブランドのバッグなどブランド品もM氏グループのターゲットだ。 「本当は10万円で買い取りできるような本物でも、『残念ながらこれはニセモノだね』などと、なんだかんだ言いくるめて、タダ同然で買い取るんだ。ここらへんはノウハウがあるんだけど、今は稼げるときだから具体的には話せないね。それと、今までさんざん人を騙してきた話術かな。本来10万円で買い取るものを9万円で買い取って12万円で売っても、たいした利益にならない。ビジネスをする以上、ある程度は悪いこともやらないとね」  ただし、カネに困っているキャバ嬢や若い男性のほうが知識もあってやりにくいという。 「彼ら彼女らは1日で何店舗も回って査定してもらうのが普通だし、しかもその金額をキャバ嬢同士、SNSで情報交換していたりもする。だから、他店がタダ同然で買い取ろうとするなか、うちはあえて2万円で買い取ったりする。僕は良心的なほうですよ(笑)」  M氏によると、確実に儲けが大きいという高級品の買取・販売ビジネス。せっかくの高級品が二束三文で手放すことがないように注意したい。<取材・文/HBO取材班>
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