なぜ航空機事故は多発するのか?――日本の飛行機の安全性を問う

航空機事故 3月8日の北京行きマレーシア機失踪に続き、7月18日にウクライナで同じくマレーシア機の墜落、24日はアルジェリアでスイフト・エア機墜落。さらに8月に入ってからはテヘランでイランの国内線が離陸直後に墜落。こう連続して飛行機事故が起こるのはなぜか。また日本の飛行機は安全なのか。航空評論家の秀島一生氏は「行き過ぎた低価格競争が飛行機の安全性を脅かしている。7月に起きた台湾でのトランスアジア航空の墜落事故などはその象徴です」と航空業界に警鐘を鳴らす。 「事故当時の台湾では、台風10号の影響で強い雨が降っていました。暴風圏すれすれの雷雨の中での着陸はやめるべきだったのに、補償問題になればお金がかかる。だからなんとか着陸しろ、と決行した結果、事故が起きた。航空会社は『租税特別措置法』で守られている公共の交通機関。すべての経費を払ったうえでの『経常収支』はゼロでも十分社会的な使命を果たすことができる。もうける必要がないのです。なのに、もうけやコストカットばかりに目を向けて、整備点検など危険回避のために当たり前のようにやるべきことをおろそかにした結果、大きな飛行機事故が起こるのです」  コスト第一、という考え方が空の交通を危険にさらしている。驚いたことにアジアのLCCで事故が起きているのに報道されていない例まであるという。 「日本では考えられませんが、アジアではメディアが事故を取り上げない国や、なかには事故調査をすらしない国があります。日本でもアジアからのLCCの参入を許可していますが、実際にはどこが危険な航空会社かという調査もできていないのです」  安倍内閣は国内外からLCCを参入させて、空港利用率を上げようと躍起になっているが、それと反比例するかのように航空法がどんどんゆるくなってきているという。 「たとえば、飛行機が空港に着陸したらそこで必ず整備をするという『飛行間整備』が航空法で義務づけられています。ところが、2年前から毎回整備をしなくてもいいことになった。もちろん利用者としては、航空運賃は安いほうがいいでしょう。しかし整備にかかる経費まで削るということは、安全をおろそかにしてのコストカットにほかなりません」  運賃が安いのはありがたいが、私たちにとって何よりも大切な「安全」までコストカットの対象にされていることが、飛行機の安全性を脅かしているのである。 <取材・文/河本美和子>