プロが教える最も手堅い金融商品ベスト5
2015.08.09
株で儲けた人々の武勇伝が漏れ聞こえてくる一方で、「インフレに備えよ」「円安時代に備えて外貨建て資産を持とう」といったメッセージも頻繁に聞かれる。そろそろ「自分も何か投資を始めないと、周囲から取り残されてしまうのではないか……!?」という焦りを感じ始めた人も多いのではないだろうか。
とはいえ、世の中にはあまりにも多くの金融商品が溢れている。一体、何を買えばいいのか……とお悩みの皆さんに代わって、ここではマネーのプロたちに意見を求めた。ぜひ、投資デビューの一助としてもらいたい。
〈当てはまる人は必読!〉
・石橋を叩いて渡る性格
・なるべく損したくない
・少しでも儲かれば満足
銀行預金よりはマシな金利で運用できる“手堅い金融商品”といえば「債券」。なかでも半年ごとに利息が見直される10年国債「変動10」は、現在の超低金利に縛られ続けることがなく、換金性にも優れていることから、マネーのプロたちから「安牌」とのお墨付きを得た商品だ。
とはいえ、彼らは債券を推奨することにあまり乗り気ではないようで……。
「結局、債券というのはある程度お金を持った人のための金融商品なんです。10億円の資産の持ち主にとっては、銀行預金の0.2%と米国債1.9%には大きな差がありますが、これから積極的に増やしていこうという層にとってはあまり違いがない。インフレに備えるという意味で『物価連動債』(物価の上昇率に応じて元金が増える国債)は覚えておいてもいいですが、ほんの僅かしか出てこないので、購入するのは至難の技でしょう」(『お金持ちの教科書』などの著作で知られる加谷珪一氏)
それでもなるべくリスクは取りたくない……という小心者にも勧められる商品として、プロたちの指名が集中したのがREIT。
「国内のREITなら、平均利回りが3%。ポイントとしては、新興不動産ではなく大手不動産会社や商社がバックについているものを選ぶことですね。外国人観光客が増えて、宿泊業がたいへん盛り上がっているので、ホテルに特化した『ジャパン・ホテル・リート』は狙い目です」(投資アドバイザーの櫻井英明氏)
国内のREITはすでにピークに達しているのでは……という不安もよぎるが「REITの価格が変動しようが、分配される賃料収益はほぼ一定で確保されるので、REITの価格が下がればむしろ利回りは上がるんです」(同) バリュー株を中心とした攻めの運用で知られるwww9945氏も、「ポートフォリオの中核になっているのはシンガポールのREIT」だと言う。
「私が買ったときは8%利回りでしたが、今でも6~7%の利回りが期待できる。シンガポール自体、格付けは最上級だし、為替もシンガポール・ドルは米ドル連動なので安定していますよ」
一方で、「買ってはいけない低リスク商品」との集中砲火を浴びたのが「個人年金保険」。加入した時点で将来受け取る年金額が決まる『定額個人保険』は、予定利率があまりに低く、今後インフレに負ける可能性がある。また、運用成績次第で年金額が変わる『変額個人年金保険』はコストが非常に割高。どちらにしてもお勧めできるものではないというわけだ。
●「個人向け国債変動10年」
61回債の利回りは0.24%(税引き前)
インフレにそこそこ強く、過去1年分の利息をペナルティとして払えば途中解約できるのもメリット。とはいえ、少ない資産を大きく増やすには心もとない
●「物価連動債」
発行数が僅かなのは「インフレには『政府の借金を事実上目減りさせる』という目的があり、国債を全部物価連動債にしてしまうと、政府が損するから」
●「ジャパン・ホテル・リート投資法人」
投資口価格8万4100円 利回り2.7%台
ホテル特価型のREIT。ビジネスホテルやリゾートホテルを投資対象とする。戦略的投資対象地域は東京都中心、大阪市、京都市、北海道、沖縄県ほか
●「日本ロジスティクスファンド投資法人」
投資口価格25万6000円 利回り2.9%台
物流センターに特化したREIT。物流系銘柄では
’05年5月上場と運営実績が長い。ポートフォリオの利回りは高い水準を維持。スポンサーは三井物産
●「シンガポールのREIT」
「私自身はインフラ設備事業に投資する『シティ・スプリング』をアイザワ証券で購入しました」(www9945氏)。利回り見込みは約8%とか
【加谷珪一氏】
専門分野は金融、経済、ビジネスほか。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。著書に『お金は歴史で儲けなさい』
【櫻井英明氏】
ストックウェザー『兜町カタリスト』編集長。投資アドバイザー。著書に『REITなら、ほったらかしでもやっぱり儲かる!』
【www9945氏】
21年間勤めた会社を昨年退社し、晴れて専業投資家に。著書に『年収300万円、掃除夫の僕が1億円貯めた方法』
※株価などのデータは5月29日終値
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