タイで世界大会を開催する、華僑ならぬ「和僑」って何?

 華僑とは、中国共産党政府の定義によると、「中国大陸・台湾・香港・マカオ以外の国家・地域に移住しながらも、中国の国籍を持つ漢民族」を指し、時には外国籍取得者の華人に対しても使用されることがある呼称である。  では、「和僑」というものがあることをご存知だろうか?  和僑とは「海外生活をする邦人の共存共栄、相互扶助や地域社会への貢献」を目指そうという、まさに華僑のコミュニティーを真似た集団で、香港に暮らす日本人の一部が言い出した造語なのだ。
小田原靖氏

タイ王国和僑会の幹事・小田原靖氏

 2004年に香港で和僑会が発足し、その後アジアを中心に支部が増加している。現在は18都市、およそ1000人の会員を抱える。  2013年11月22日と23日にはなんと、和僑会の世界大会が開催され、それはもう5回目になるのだとか。 「一応代表者などはいますが、あくまで個の集まりであり、互いに助け合うというのが和僑会です」  2009年に始まったタイ王国和僑会の幹事を務める小田原靖さんが語る。  実は和僑会には、日本にも数か所ほど支部がある。 「日本の支部は、これから海外に進出したい、という方が参加されています」  現在タイの和僑会会員はおよそ50名。他国の支部もそうだが、基本的には海外で頑張りたいという気持ちが入会条件で、多くが自営業者になる。とはいっても、会員であるかないかは特に重要ではないそうだ。 「ユルい団体ですから。元々は年に1回程度集まって元気だったか確認しあう集まり。今は互助会らしくなってきましたが、海外に住む日本人みんなで助け合いながら盛り上がっていこうというだけです。そういう意味では日本人であれば誰でも和僑会の一員ですよ」
タイ王国和僑会定例会

タイ王国和僑会定例会の集合写真

 バンコクでは微々たる会費を徴収するが、支部によっては実費で飲食代をもらうだけのところと、とにかく適当でユル~い集まりなのだと小田原さんは笑う。  そんなタイの和僑会が毎年の持ち回りもあって、今年、世界大会を執り行う。昨年はシンガポールにて行われ、およそ250人の参加者だったところ、バンコク大会では1000人参加をぶち上げている。もちろん会員以外での参加も歓迎で、むしろ世界中の会員よりも非会員の参加人数の方が多くなる見込みだ。
世界大会

世界大会開催はバンコクでマスコミを集めて発表された

「目玉は経営コンサルタントなどで有名な大前研一先生の講演です。ほかにも様々な業界の前線で活躍される方々の講演も用意しています。また、いろいろな企業の物産展と参加者全員による大交流会も注目です。異業種間で交流していただき、そこからこれまでにないビジネスが生まれる場になればと願っています」  タイという場所柄もあるが、昨年の4倍の規模を見込める巨大な会合に日本人の海外進出への興味の高さがうかがえる。東南アジアに興味のある方、とりあえず和僑会世界大会で和僑になってみるのもありなのかもしれない。 <取材・文/高田胤臣 取材協力/タイ王国和僑会幹事 小田原靖 http://www.thaiwakyo.com
(Twitter ID:@NatureNENEAM) たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など
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