中国の金融商品「余額宝」、ヒットの要因は「支付宝」の信用度
2014.07.21
理財商品に続き、またしても中国で怪しい金融商品が人気を集めている。「元本保証」「出し入れ自由」のうえに、4.65%の高金利が付くという。その実態を探った。
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中国当局は政府系メディアに余額宝を「吸血鬼」と批判させるなど、オンライン金融の過熱を牽制する動きを見せている。
電子マネーに詳しい、国立情報学研究所の岡田仁志准教授も、リスクを指摘したうえで「中国だから成り立つ金融商品」と話す。
「余額宝のビジネスモデルは、日本では出資法第2条の『預り金』禁止に抵触するおそれがある。預金残高が右肩上がりのうちはいいが、一度取り付け騒ぎが発生すれば途端に破綻する危険がある。そんなリスクの高い余額宝ですが、中国で受け入れられている背景にはアリババが展開する支付宝への絶大な信頼がある。支付宝は、取引相手や司法も含め『誰も信用できない』中国社会で、唯一信頼の置けるエスクローサービスとして支持を集め、今や世界最大級のオンライン決済会社に成長しました。中国の中小銀行よりも人々の信用を集めています」
現在、中国では余額宝のほかに類似商品が続々と登場。4月末現在で資産規模は1兆7500億元にまで膨らみ、実に国家予算の2割近くに達している。中国政府も安易に規制をかければ、社会的混乱を引き起こしかねず、慎重な姿勢をとらざるを得ないのが実情だ。
運用方法も金利の設定方法も不確か。それでも高金利に魅力を感じた人は、怖いもの見たさで買うのもありかもしれない。
<step1>中国系銀行に口座開設
「支付宝」に資金を入金するために、中国国内で銀行口座を開設。主要30行であれば、どこでも「支付宝」に登録することができる。しかし、銀行口座開設のためには、中国に行かなければならない
<step2>支付宝のアカウント開設
アリババのHPから支付宝アカウントを開設。マイページから余額宝機能の利用申し込みをする。携帯電話番号(日本のものでも可)を登録すると、SMSで認証コードが送られてくるので、ネット上で入力すると、アカウントの開設完了
<step3>実名認証手続き
余額宝機能を利用するには、銀行口座の登録と、実名認証が求められる。外国人の場合、パスポートと中国在住ビザが必要。現在のところ、有効なビザを持たない外国人のアカウント開設は原則としてできないようだ
<step4>支付宝から「余額宝」を購入
2営業日ほどで認証が完了した旨を知らせるメールが送られてくる。その後、登録した銀行口座から支付宝に資金をチャージして余額宝へ振り込むだけ。手数料も一切かからない。あとは気長に待ち、日割りの利子が付くのを待つ。ちなみに資金を引き揚げる際は、逆の流れとなる
【岡田仁志氏】
国立情報学研究所准教授。電子商取引の消費者行動に関する公共政策や電子マネーの研究をしている。著書に『電子マネーがわかる』(日経文庫)ほか多数
取材・文/奥窪優木
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