Google Glassなどのメガネ型デバイスはどう進化する?

Google Glassなどのメガネ型デバイスはどう進化する?

 Apple Watchがその進化をアピールするなか、その他のメーカーの動向はどうなっているのか。まずAndroid OSのGoogleでは、2013年から開発者や消費者にテスト目的で販売していたメガネ型のウェアラブルデバイスGoogle Glassが話題となった。  前出の神戸大工学部電気電子工学科の塚本昌彦教授は現在のウェアラブルデバイスのトレンドをこう語る。
塚本昌彦教授

塚本昌彦教授

「Apple Watchなどウォッチ型の次はメガネ型が来るでしょう。Google Glassは視界に写る対象のプライバシーなどの課題があり、いったんリリースを中止していますが、課題が解決されればすぐにでも後継機をリリースしたいはず」  Google Glassは今年の1月をもって一般消費者向けの販売を中止。一般向けの次世代タイプ「Google Glass2」もリリースが立ち消えになった状態だが、その裏では着々と技術開発は進んでいるという。 「現在、Google Glassには目立った動きがないように見えるかもしれませんが、開発者や企業との連携は継続していて、クローズドな現場では活用がはじまっています。メガネ型ウェアラブルデバイスは、現場の映像など口頭や文字では伝えきれない情報を遠隔地に送信できる。ハンズフリーで使えるので現場での利用に適しています。まだ実験レベルですが、緊急医療の現場での利用も検討されています」(塚本教授)  昨年、日本航空では、機体整備や貨物の搭載作業にGoogle Glassを利用。現場の画像を遠隔地のスタッフへ送り、支援を受けるという実証実験が行なわれた。イギリスのヴァージン・アトランティック航空では、客室乗務員がGoogle Glassを装着し、乗客の目的地やフライト予定を確認。目的地の天気やイベント情報を伝えるといったコンシェルジェ的なサービスを試験的に開始している。 「ソニーやエプソンなどの他メーカーからもヘッドマウントディスプレイが製品化されるなど、メガネ型のデバイスは各メーカーが力を入れているジャンル。他の事業者の参入や、想像を超えた機能の進化など、さらなる活性化が予想されます」  実際、Googleは他社と提携して、医療用にコンタクトレンズ型ウェアラブル端末の研究開発も行なっている。メガネの次はコンタクト?……とつい想像が膨らむところだ。

ウェアラブルデバイスの未来

 ウォッチ型、メガネ型以外にも、多種多様なウェアラブルデバイスが続々と製品化されている。最近、話題になっているのが指輪型。指輪をはめた指で、空中に文字や数字を描くと文字入力できたり、ジェスチャーが送信できコミュニケーションできるようなデバイスだ。ネットワークにつながるスマート家電の操作も指先ひとつで可能。実際に使ってみると、近未来を通りこして、指から何かの魔法が出ているような印象すら受ける。  変わり種で言うと、靴型デバイスの開発も進んでいる。靴の中敷きについたセンサーが、左右どちらかの足を振動させることで道案内をするというデバイスだ。距離や速度、消費カロリーがわかるので、ウォーキングやジョギングにも活動量計として利用できる。  視聴覚障害者に向けたサービスも増えている。メガネ型デバイスでは視覚障害者の外出をサポートする遠隔ガイドシステム「guide glass」の実証実験もはじまった。メガネに写る光景が介助者に送られ、遠隔地からの案内を受けて街歩きのサポートをするシステムだ。聴覚障害者向けとして相手の発言がメガネに字幕のように表示されるものもある。 「ウェアラブルデバイスは、これまでとは違うアプローチで視覚、聴覚、触覚などに五感に訴えかけることができる。ハンズフリーという利用者に負荷をかけない形態でもある。スマートフォンがコミュニケーションや仕事のスタイルなどを激変させたように、ウェアラブルデバイスも今後の活用法次第では、社会のあり方すら変革してしまうかもしれません」  昨年、株式会社野村総合研究所が、2019年度までのITロードマップをとりまとめを発表した。  2020年までに、ネットにつながるモノの数は500億個になると考えられている。我々が身につける腕時計やメガネといったウェアラブルデバイスが、冷蔵庫や洗濯機のような据置型家電のほか、お店や公共の場所などあらゆる場所へとつながっていく。どこへ行っても一人一人の状況にあった、コンシェルジェのようなきめ細かなサービスが受けられる。一昔前のSF映画やテレビアニメでも創造、そして想像できなかった未来はすぐそこにある。 <取材・文/橋村望 写真/Prepayasyougo>