ウクライナ問題の急落以降、復活してきたロシア株。今後の狙い目は?
2014.07.02
ウクライナ問題が起きたことで、ロシア株式市場は大暴落した。ただ、裏を返せば、投資家にとっては絶好の買い場となっていたと言える。ところが、ロシアのプーチン大統領が欧州への融和姿勢を見せ始めると、5月上旬から反転し、3月の急落以前の水準に回復した。ただ、ウクライナ情勢如何に関わらず、ロシアの実体経済にも不透明感が伴う。
⇒【前回】『ウクライナ問題はロシア株投資にどう影響を与えたか?』はコチラ
5月から回復し、今後もまだ上昇の余地はあるロシア株。一方、ロシアルーブルもまた、期待できる余地はあるという。
「ロシアルーブルは3月に対ドルで過去最安値を更新しました。ロシアの中央銀行は通貨防衛のため、政策金利を1.5%引き上げて7%に利上げするとともにルーブル買いの為替介入を行いました。まだまだ安値圏にありますので、今後ウクライナ情勢が沈静化すれば、ルーブル高の動きも期待できます」(元シティバンクの西原宏一氏)
株高に加え、ルーブル高ともなれば、ダブルで利益が得られる。そうなると、気になるのはどの個別銘柄を狙うべきかだが、そちらは以下を参照してほしい。ロシア株はSBI証券など日本の証券会社でも扱っており、口座さえあれば、誰でも購入可能だ。
「プーチン銘柄」は今がまさに仕込みどきのようだ。
●モスエネルゴ
モスクワ証券取引所/売買単位:1000株
PER 8.9倍/PBR 0.1倍
モスクワ、およびその周辺地域に展開している電力会社。企業としての成長は頭打ちながら、利益は安定している。注目は0.1倍と日本では考えられない超割安水準のPBR。安定した業種だけに安心して買えそうな銘柄だ
●VTBバンク
モスクワ証券取引所/売買単位:1万株
PER 4.5倍/PBR 0.52倍
ロシア第2位の銀行。国内に153店舗を展開しており、経常利益率は46%。ロシア企業にしては効率的に経営している様子が窺える。にもかかわらず、今回のウクライナ情勢の悪化で株価は下落。指標も割安水準に達しており、仕込みどきか!?
●アフトワズ自動車
モスクワ証券取引所/売買単位:100株
PER ― 倍/PBR 0.39倍
「LADA」のブランドなどで展開するロシアトップの自動車メーカー。’12年にルノー・日産の傘下に入り、資本も安定している。’13年は赤字に転落したものの、今期は黒字回復を見込んでおり、PBRも0.39倍と割安水準に達している
●ヤンデックス
ナスダック/売買単位:1株
PER 22.9倍/PBR 7.5倍
世界第4位のインターネット検索企業。ナスダック市場に上場する。ロシアにおける検索シェアは、グーグルを大きく引き離し65%を確保。トルコなど近隣諸国にも進出し、業績も急成長している企業。指標面は割高も成長性に期待できる
●マグニト
モスクワ証券取引所/売買単位:1株
PER 16.2倍/PBR 5.2倍
小売り大手。もともとはスーパーマーケットを展開していたが、近年はコンビニ業態が急成長中。ロシア国内に6000店舗以上を展開する。30%成長を続けていたが昨年23%に鈍化し株価も調整局面入り。成長余地はまだありそうだ
●CTCメディア
ナスダック/売買単位:1株
PER 10.3倍/PBR 2.2倍
ロシアの民間放送局大手。ナスダック上場。PERは10倍とロシア株にしては割高感もあるが、粗利益率は53%と高水準に達している。近年は新たな収益源確保を目指してオンラインへも進出しており、今後の成長に期待ができる
【西原宏一氏】
為替ディーラー。シティバンクなどを経て独立。海外ヘッジファンド勢を中心に築いた独自の情報網で世界のマクロ経済に精通。http://www.ck-capital.jp/
取材・文/高城 泰(ミドルマン) 図版/ミューズグラフィック
― 絶好の仕込みどきが到来[プーチン銘柄]狙い撃て!【2】 ―
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