懸命に働いてもなかなか給料が上がらない昨今、副業として人気の“ネット転売”は本当に儲かるのか？　転売事情通や実践者のアドバイスをもとに、転売ド素人の新人記者が1か月でどこまで利益を出せるかチャレンジした。 　気軽に始められる副業としてサラリーマンにも人気のネット転売。「相場よりも安く仕入れ、ヤフオクやアマゾンなどで高く売る」と仕組みは単純だが、知識ゼロのド素人でも可能なのか？ 「お店に行って仕入れる場合、足を使うので体力は多少あったほうが有利ですが、学歴や経歴などは一切関係ありません。誰にでもできますよ」 　そう語るのは、ネット転売事情に詳しいライターの中野一気氏。ただし、その前段階として、「情報を集めることが必要」だと説く。 「例えば、“転売ヤー”や“セドラー”と呼ばれる転売で生計を立てている人のブログには、初心者の参考になることが書かれているので、転売ブログランキングの上位をチェックするのは有効です。また、無料電子書籍を配信する『メルぞう』には転売ノウハウ本も多数あります。扱う商品であったり、やり方はその人によって違いますが、まずはこうしたところから断片的に情報を集めるのがいいでしょう」 　ちなみに転売を行うにあたり、最も重要になるのが仕入れだという。 「ワンクリックで購入できるのが便利なので、かつては市場より高くてもアマゾンであれば売れるのが定説でした。そのため、それほど安く仕入れられなくても利益を出すことは可能でした。でも、今はアマゾンの相場が市場並みに下がっています。そこで、初心者は在庫処分セールやバーゲンなどの特価品を調べることから始めます」 　家電やDVD、CDは家電量販店やディスカウントストアで特価品を仕入れるのがベターだが、開催時期が読みにくい。だが、なかには毎年決まった時期で行う商品もあるとか。 「わかりやすいのは季節家電。シーズンオフが安いと思いがちですが家電量販店は新製品を置く棚を空けなければならず、シーズンに入りたての時期に在庫処分セールを行います。夏物家電の場合、6月下旬～7月上旬が旧モデルを格安で購入できるチャンスです」 　また、家電量販店では季節家電に限らず、新商品が出るタイミングに合わせ、発売の少し前に旧モデルの特売を実施するケースが多いという。 「その際、オススメなのが『価格ドットコム』。価格情報はもっとも安い店でも転売相場とさほど変わらず、昔ほど役に立ちませんが、同サイトの新製品ニュースではあらゆる商品の最新情報をまとめてチェックできます」 　さらに特売の対象となるのは、旧モデルだけではないという。 「具体的には、旧モデルの付属品やアクセサリー類です。同時期にセールされることが多く、これも転売で利益を上げやすい。スマホだとiPhone6の発売時期に合わせ、その前に既存モデルのケースなどは処分セールされる可能性が高いですね。機種変更するユーザーは一部のため、店頭では手に入りにくくなった旧モデルのケースの需要は間違いなく高くなるはずです」 　とはいえ、いくら単価が安くても大量に仕入れるのは注意が必要だ。 「とりあえず、まずは1個仕入れて、出品して様子を見ましょう。あとはアマゾンで商品別の出品数や購入数、購入価格が確認できる『アマショウ』というサイトで仕入れ予定の商品を事前にチェックするといいですね。人気があっても出品数が多ければ避けるのが鉄則。需要はありそうだけど、出品数が少ない商品を仕入れるのがコツです」 　この他、ディズニーランドやUSJなど会場内でしか買えない限定グッズなどは転売市場でも需要が高い。 「ディズニーランドは場外にある『ボン・ヴォヤージュ』というショップでも限定グッズが入手可能。入園料を払う必要もなく、仕入れに便利です」 　あと、新品ではなく中古品を仕入れるという方法もある。 「ヤフオクでは中古品もかなりの需要があります。相場も最初から中古なので値崩れを起こしにくいんです。特にカメラは1個あたりの単価が高額なので転売ヤーの間でも人気です」 【転売に失敗しないための3か条】 1、最初は“転売ヤー”のブログでノウハウを学べ 2、仕入れるのは特価品や在庫処分品に絞れ 3、新製品情報をチェックし、転売する商品を絞り込め ＜ド素人が陥りがちな転売の失敗＞ 1、単価の高い商品に手を出すな 高額商品の転売は上級者向け。30数万円で仕入れた高級一眼カメラを出品するも売れるまで時間がかかり、売れなかったときのリスクが高い 2、安いからといって大量に仕入れるな 単価の安い商品の場合、つい数多く仕入れたくなるが必ず全部売れるという保証はない。在庫を抱えるのはストレスにもなるので初心者は避けるべし 3、ブランドバッグ・財布は扱うな バッグや革製品、洋服などのブランド物は精巧なコピーあり、クレームの元になることも。業者ならともかく、個人が扱うにはリスクが高い ＜これが“転売ヤー”御用達サイトだ＞ ●Amashow （http://amashow.com/past.php） 商品名を検索すれば、アマゾンでの出品・販売状況を一目で確認することができる。価格を設定する際、多くの転売ヤーは同サイトを参考にしている ●価格.com （http://kakaku.com/） 家電やPC、カメラ、携帯電話などの商品リリースがいち早く紹介される「新製品ニュース」をチェックすれば、仕入れ商品を決めるうえで非常に便利 【中野一気氏】 フリーライター・編集者。儲けている現役転売ヤーのノウハウを紹介した『アマゾン ヤフオク！転売で給料以外に月15万円稼ぐ！』（宝島社）著者。転売ヤーの生き方に興味があり、1年以上にわたって取材中 ― ド素人がネット転売で稼ぐ6つの鉄則【1】 ―