iPhone「iOS8.3」はここが変わった――ビジネスマンのためのスマホ講座
今月9日(4/9)にリリースされた最新のiOS 8.3。パフォーマンス改善やバグ修正など、多くの機能に改善・修正が加えられているが、注目すべき変更点は「VoLTE(ボルテ)」「Siriのハンズフリー通話」「絵文字」の3つ。この3つの変更点について、わかりやすく解説してみる。
ビジネスの話題として押さえておきたい一番の目玉は、3キャリア同時に行われたVoLTE(ボルテ)への対応だ。VoLTEとは「Voice over LTE」の略で、LTEによる音声通話サービスのこと。従来の通話ではカットされていた高音域の音声成分を含み、音がこもらずクリアで聞き取りやすい通話を実現する技術となる。
VoLTE自体は、すでに3キャリアともサービスは開始しており、Androidの対応機種では利用可能だったが、今回のiOS 8.3では、iPhone 6およびiPhone 6Plusについて、VoLTEが利用できるようになった。
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なお、現在は同一キャリアの対応機種間でのみ、VoLTEによる高音質通話が可能となっており、キャリアが異なる場合はiPhone同士であってもVoLTEの恩恵は受けられない。またSIMフリー版のiPhoneを利用している場合も、利用中のキャリアに応じた設定を行うことで、VoLTEが利用できるようだ。
VoLTEの効果をざっくりと説明すると、従来の3G通話や固定電話(3500Hz〜4000Hz)では伝えられる音域に限りがあり、日本語に多く含まれる母音などは伝わりやすいが、子音を多く含む英語などは正確に伝わりづらかった。しかしVoLTEで見込まれる音声周波数(5000〜7000Hz)であれば、音楽などもより原音に近い音質で届けられるほか、「渋谷」と「日比谷」といった、イントネーションが同じで子音の一部が異なる言葉も聞き取りやすくなる。
IIJmioの公式ブログ「てくろぐ」では、格安SIMを使ってのVoLTE対応も確認されている。今後幅広い機種やキャリアで利用できるようになれば、ビジネスの現場などでは、名前の聞き間違いを防げるといったメリットも大きそうだ。
なおauに関しては、これまで通話中のデータ通信ができないというネックがあったが、VoLTEに切り替えることで、通話中の通信も行えるようになる。
その他の追加機能としては、Siriの強化機能「Hey Siri」を利用したハンズフリー通話に注目したい。「Hey Siri」は、充電ケーブルを接続した状態で「ヘイ シリ」と話しかければ、タッチ操作をせず音声のみでSiriを呼び出せる機能で、今回のアップデートでは、スピーカーフォンに切り替えて通話も指示できるように修正されている。
例えば運転中の車内でiPhoneに向かって「ヘイ シリ ○○○○(相手の名前)に電話かけて」と話しかければ、脇見をすることなく相手に電話をかけ、そのままハンズフリーで会話を行うことができる。あらかじめ練習して慣れておけば簡単に利用できるので、営業車などで移動が多いビジネスマンは覚えておくと便利かもしれない。
そのほか、今回のアップデートで目立った変更点は、絵文字の追加。なかでも、ひときわ目を引くのが、絵文字に多様な肌の色(スキントーン)を選べるように変更された点だ。
「多様性の尊重」に応える形での導入と報じられているが、ともあれ、国内外問わず、さまざまな相手とやり取りを行う人にとっては、相手に配慮して絵文字が利用できることを素直に歓迎したいところだろう。
マイナーアップデートながら、さまざまなシーンで活用できる便利な機能が追加されたiOS 8.3。VoLTEは利用できる環境が限られるなど、まだまだ万全とはいえないが、体験してみれば音質の違いは明らかだ。多様化した絵文字や、便利になったハンズフリー機能なども用途は限られるが、そのぶん、いざというときに役立つことも。手元にiPhoneがあるならば、ぜひチェックしてみてはいかがだろうか?
【小枝祐基】
スマートフォンやPC関連の取材・記事執筆を精力的に行うライター。白物家電やデジタルガジェットなどのレビューもこなす。共著に『docomo iPhone 6 Plus 完全活用マニュアル(ソシム)』『Pepper スタートブック(SBクリエイティブ)』など。
<文・図版/小枝祐基 Twitter:@k_eda >
変更点その1:VoLTE(ボルテ)への対応
変更点その2:Siriのハンズフリー通話対応
変更点その3:絵文字の追加
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