6月まで日本株は買ってはいけない? 投資家を脅かす3つの悪材料

日本株 4月10日、一時的とはいえ2000年4月17日以来、約15年ぶりに日経平均株価が2万円台に回復した日本株市場。このままITバブル高値の2万800円を突破するとの見方もあるが、楽観的な展開予想を警戒する声もある。Nアカデミー講師で東洋大学非常勤講師も務める投資家・坂田善種氏は、「5月一杯まで警戒が必要」とする3つ理由を次のように述べる。

その1:2万円台乗せの達成感から市場が落ち着く

「1つめは2万円台乗せの達成感。やや過熱気味の日本株市場は、少々の悪材料で流れが転換するような可能性は低い。ただ、2万円台乗せとともに、達成感から一旦は売りの動きが強まり、調整含みの展開になりそう」(坂田氏)  直近のイベントでは、4月12日と26日に行われる統一地方選挙に注目。自民党の勝ちっぷり次第で、地方創生などアベノミクスへの期待感から2万円台に乗る可能性もある。「達成後は相場のムードが一旦落ち着き、これまでより悪材料に対して敏感になる」(坂田氏)という。

その2:「ユーロ安→円高」で株価が下がる

「2つめは、ユーロ安。欧州中央銀行(ECB)による量的緩和もあり、ユーロ安は加速している。1つめの理由にもつながる話ですが、このユーロ安の動きから円高方向に振れ、日本株市場の足踏み要因となる懸念もぬぐえない」(坂田氏)  海外に目を向ければ、イラク、ウクライナの地政学的リスクも依然として目が離せない。昨年はイラクでの米軍空爆後に、ドル安・円高懸念から日本株相場が全面安の展開となったこともあった。

その3:『セル・イン・メイ』のジンクス

「最後の3つめは、『セル・イン・メイ』。季節変動のジンクスで、5月は多くのヘッジファンドが決算を迎えることから、相場が下がるというもの。こういったジンクスはあまり気にしなくてもいいと思いますが、2万円台突破後の軟調な局面では、今年はひとつのリスクとなる」(坂田氏)  このほか、米国の利上げも6月頃発表との見方も多く、その前後で一旦は調整局面を迎えることになりそう。「5月は意外と相場が難しい」(坂田氏)となると、上昇余地は2万円台突破まで。直近のうま味は多くは残されていないどころか、個別株では銘柄によってはすでに乗り遅れている可能性もある。上げムードに酔わず、ここからの読みは慎重に行いたい。 【田中雅大(たなかまさひろ)】 ビジネス・マネー誌と家電情報誌が主なフィールドの編集・ライター。マネーは国内株、生保。デジタル系はスマホ、白物家電を主に担当。(株)ペロンパワークス代表。『保険選びは本当にカン違いだらけ』(鬼塚眞子著、SBクリエイティブ)の構成を担当。
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