粉飾決算、業法違反…増えるコンプライアンス違反倒産

コンプライアンス

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 異物混入や粉飾決算など企業のコンプライアンスは常々問題になるもの。時にはそのコンプライアンス違反がもとで倒産となる場合も少なくない。  4月7日、帝国データバンクがそんなコンプライアンス違反企業の倒産動向についての調査結果を発表した(※「粉飾決算」や「業法違反」、「脱税」などのコンプライアンス違反が判明した企業の倒産を「コンプライアンス違反倒産」と定義。2014年度(2014年4月~2015年3月)の倒産(負債1億円以上、法的整理のみ)について分析。本調査は2005年4月から集計を開始しており、前回調査は2014年4月7日)。  調査によれば、2014年度のコンプライアンス違反倒産は219件、前年度比4.8%増で、過去最多を更新。2010年から5年連続の前年度比増ということになった。  違反類型としては、不正経理や融通手形などで決算数値を過大(もしくは過小)に見せる「粉飾」を行っていた企業が前年度比69.2%増の88件となり、4割近くを占めることになった。この増加の背景には、2015年2月に民事再生法の適用を申請した総合厨房機器メーカーのマッハ機器が、融通手形による不透明な資金捜査を行った事件によって連鎖倒産などが起きた事例などが挙げられている。  続いて、業務停止命令や許可取り消しなどの法令違反を要因とした「業法違反」による倒産が63件で3割近くとなった。このケースとしては、2014年9月に破産した貸金業の城南チエン勧業のケースが挙げられる。同社は地元商店を対象としたクレジット事業を手がける協同組合の別部門として設立されたが、景気の低迷で会員数が減少するなか、2011年4月に関東財務局より、管理体制の不備などを理由に貸金業法に基づく業務改善命令を受け、業容が大幅に縮小。結果、事業継続が困難になった。  不正な資金流出など「資金使途不正」が15件で6.8%。こちらは2014年9月に破産申告した長崎出版の事例が挙げられている。同社は累計270万部を売った「こびとづかん」という大ヒットシリーズを持っていたが、同シリーズは出版契約を巡り作者ともめた結果、2013年に版権は他社に移行。その上、コンサルタントの口車に乗せられて投融資事業などに手を出すもことごとく失敗し、損失を拡大させると同時に、実態を伴わない支払いなども発覚。結果、資金繰りが悪化し、事業継続が困難となった。  帝国データバンクは、調査のまとめで、「融通手形をはじめとした不正な資金調達や粉飾決算は、いずれ破綻するものであり、その影響は1社にとどまらず、複数社を巻き込んだ連鎖倒産劇ともなり得る。景気回復に伴い新規取引拡大に動く企業も増えているなかで、自社のコンプライアンスだけでなく、相手先となる企業に対する与信をより厳格に判断していくことが求められる」としている。 参照:帝国データバンク「2014年度 コンプライアンス違反企業の倒産動向調査」 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p150403.pdf <文/HBO取材班>