ほったらかし系FXで勝つためのプログラムの選び方
2014.10.11
チャートに張り付くだけがトレードではない。自分のトレードスタイルが見つかれば、それに合った自動売買を行うのも手。今、そんなほったらかしFXがブームなのだ!
「数年前、ある自動売買プログラムを作りました。数人だけに配り、100万円くらいの元手で運用させると1週間ほどで2億円になったんです」
そう話すのは、システムトレーダーのミスターブレイン氏。自ら売買戦略を立案、プログラム化し、運用する自動売買のプロフェッショナルだ。それにしても100万円が1週間で200倍とはハンパない爆発力。どんな戦略だったのだろうか。
「価格の『ゆがみ』を狙った戦略です。当時は『ストップ刈り』が問題になった時期だったんです」
FX会社には利用者の注文が見えている。98円30銭のとき、98円20銭に損切り注文がたまっていたら瞬間的にレートをズラして損切り注文を約定させ、すぐにレートを戻す。取引が増えるからFX業者は儲かる―。そんなストップ刈りが横行していた時期があったのだ。
「でも、逆に考えればレートがズラされて98円20銭になった瞬間に買い、本来の30銭に戻ったときに売れば、ほぼノーリスクで10銭幅の利益になりますよね。そんなやり方です」
自動売買には、こんな裏ワザ的なやり方もあるのだ。
「1年ほど前にも『エッジブレイカーFX』という裏ワザ系の自動売買を開発しました。約1年で億に近い額を稼いでくれました。ただ、こうした裏ワザ系は“賞味期限”が短いんです。FX会社に対策されたり、口座停止になることもあるんです。私たちも口座を閉じられた経験は多いですよ(笑)」
実は2人組のミスターブレイン氏。役割分担としては、取引アイデアを考えるミスター氏と、それをプログラムに落とし込むブレイン氏といった感じ。
「もちろん裏ワザばかりではなく、普段はテクニカルを中心にした自動売買で運用しています。使うのはメタトレーダー4(MT4)です」
MT4はFXの世界標準となっているツール。自動売買にも対応しており、利用する人も多い。
「MT4の自動売買はEAと呼ばれており、私たちを含め、世界中のシステムトレーダーがさまざまなEAを開発しています。ミラートレーダーに使われている売買プログラムにも、EAをもとにしているものは多いんです」
EAで検索すると、有料、無料を問わず、さまざまな自動売買プログラムが見つかる。玉石混交の世界で、本当に勝てる売買プログラムを見つけられるのだろうか。
「最大ドローダウンやプロフィットファクターなど、さまざまな指標を総合的に判断する必要がありますが、それには知識や経験が必要。より簡単に比較できる指標として、私たちが使っているのが『ブレインレシオ』です」
この指標の計算に使うのは3つの数字だけ。「総純損益」と「最大ドローダウン」(累積損益の天井から底までの最大の下落幅)、それに「検証期間」だ。「まず、総純損益を最大ドローダウンで割ります。これで利益を得るためにどのくらいのリスクをとっているのかが計算できます。それをさらに、検証期間の月数で割り算するんです。こうすると、最大ドローダウンが発生したときに、1か月でどのくらい回復するか、わかるようになります」
式に直せば「総純損益÷最大ドローダウン÷検証月数」だ。過去30か月で、最大ドローダウンが20万、100万円を稼いだEAなら、「100万÷40万÷30」で0・17となる。
「その場合、最大ドローダウンが発生しても1か月で17%の回復が期待できるということになります。目安としては0.5を上回れば優秀、1を超えるようなものはまずないですね。0.1を下回るものも多い。ブレインレシオなら優劣を簡単に比較できるんです」
ブレインレシオはどんな自動売買プログラムにも使える。ミラートレーダーでも、過去の実現損益や最大ドローダウン、それに運用開始日が明記されているので、ブレインレシオを計算できる。表の中では、最も優れたEAは「G」になる。
ちなみに、自動売買では複数の売買プログラムを組み合わせる人が多いが、ミスターブレイン氏によれば、それは得策でないとか……。
「もしも本当に優秀なプログラムがあれば、一点集中するのもアリです。ポートリオ運用だと、確かにリスクは減らすことができますが、短期間に儲けることは難しい。それに採用する売買プログラムが増えるほど、多くの資金が拘束されますから、チャンスがきたとき、回せる資金が少なくなってしまうのもデメリットです」
一点集中に値するくらいの売買プログラムって、あるのか?
「難しいですね。最近は相場の変動幅が小さくなっているので、テクニカル分析をもとにした一般的なEAでは稼ぎにくい。この相場にあわせて儲かるように見えるEAを作るのは簡単ですが、そんなものを使うと、たちまち最大ドローダウンを食らいます(苦笑)」
それを見破るにはブレインレシオの活用を。では、売買プログラムの自作はどうか。最近は、プログラミングの知識がなくても、好みのテクニカルや決済幅などを指定するだけでプログラムが作れるサービスもあるが。
「単純なシグナルで勝てるほど甘い世界ではありません。自動売買を学ぶ練習にはいいかもしれませんけどね」
ちなみに簡単に売買プログラムをつくれるサービスの代表例はセントラル短資FXの「かんたんエディタ」。気になる人はお試しを!
◆ポートフォリオ運用は本当に正解なのか?
【メリット】
・ひとつの通貨、手法に集中投資しないのでリスク回避できる
・いろんな通貨、手法で投資するので収益チャンスが増える
⇒コツコツと着実に稼ぎやすい
【デメリット】
・取引が分散されるので1取引あたりの利益が薄くなる
・資産が分散されチャンスが来ても集中投資できない
⇒大きく儲けるのは難しい
【ブレインレシオが「0.5」以上を探せ!】
総純損益÷最大ドローダウン(金額ベース)÷検証期間(月数)=ブレインレシオ
【ほったらかしの極意】
・ブレインレシオ0.5以上を探す
・複数のEAで分散投資をしない
・できれば優れたEAに一点投資
【メタトレーダー用 無料EA 配布所】
http://www.ftlabo.com/
2人組のシステムトレーダーであり、システム開発者であるミスターブレイン氏。2人の開発したEAは無料配布のものもあるのでHPで
取材・文/高城 泰(ミドルマン) イラスト/松嶌篤志 図版/WADE
― 犬でも勝てる!進化系[ほったらかしFX]の極意【4】 ―
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