植草一秀氏「株高は原油価格の反転上昇までが好機」

日本株価の上昇が続いている。原油価格下落の影響でFRBの金利引き上げ先送りが、最大の支援要因。日本では消費税増税に伴う景気悪化が一巡する一方、企業収益の増加継続。原油高を契機とする株安表面化までが勝負か

株価の水準修正が進行。原油価格上昇までが勝負どころか【後編】

(政治経済学者 植草一秀氏) ⇒【前編】  金融市場の最大の注目点は、引き続き米国の金融政策である。3月18日のFOMC声明で、利上げまで「辛抱強くいられる」の表現が削除された。言葉の上では利上げが近づいた形だが、景気見通し、金利見通しが下方修正されたため、逆に利上げの先送り観測が広がった。米国の消費者物価上昇率は1月に前年比でマイナスを記録。これでFRBの利上げスタンスが著しく後退したのである。 「原油安の配当」と表現できる効果が内外株式市場で観測され、この影響が残存する間は、株価堅調が持続しやすいと考えられる。

好環境の先にある落とし穴に注意

 しかし、株安懸念がないわけではない。’15年後半には日本の財政政策が景気抑圧に向かう可能性が高い。また、原油価格はいずれ反転上昇するだろう。  そうなれば、逆回転を始めることになり、目先の好環境の向こう側に大きな落とし穴がある可能性に留意が求められる。  株価の大幅水準調整は短期間に一気に進展することが多い。限られたチャンスを確実にものにする機敏な瞬発力がポイントになる。 【今週の数字】 日経平均株価(理論値) 2万6000円 株価の理論的適正値は各種見解があって定説はない。PERの単純比較が見られるが、金利差が考慮されておらず、筆者は日経平均理論値を2万6000円水準と判断する 【選者】植草一秀氏 シンクタンク主席エコノミストなどを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログは「植草一秀の『知られざる真実』」。著書に『日本の奈落-年率マイナス17%GDP成長率衝撃の真実-
日本の奈落

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