自分の感情や考えに自信が持てない人はどうすればいい?――【石原壮一郎の名言に訊け】
2015.03.26
Q:ヘンな悩みに聞こえそうですが、毎日そのことがけっこう気になってしまいます。私は自分の感情を感じるのにとても時間がかかり、また、その感情や考えに自信が持てません。その影響で起きたいいことと悪いことは半々に思いますが、改善する方法はあるのでしょうか。(東京都・28歳・福祉)
元々は「慎重な性格をどうするか」という相談だったのでやや話が逸脱しますが、「自信を持つ大切さ」という点では共通するかと思うのでご容赦ください。他人に認めてほしいなら、まずは自分で自分を認めてあげましょう。勘違いでもハッタリでもかまいません。自分ですら自信が持てないのに、そんな自分を他人に認めてもらおうと思うのは図々しい話です。
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いしはら・そういちろう/フリーライター、コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』(扶桑社)でデビュー。以来、さまざまなメディアで活躍し、日本の大人シーンを牽引している。『大人力検定』(文春文庫PLUS)、『大人の当たり前メソッド』(成美文庫)など著書多数。近年は地元の名物である伊勢うどんを精力的に応援。2013年には「伊勢うどん大使」に就任し、世界初の伊勢うどん本『食べるパワースポット[伊勢うどん]全国制覇への道』(扶桑社)も上梓。最新刊は、定番の悩みにさまざまな賢人が答える画期的な一冊『日本人の人生相談』(ワニブックス)
A:ヘンなことなんてありません。どんな悩みも当人にとっては深刻だし、どんな悩みも他人から見たらちょっとずつヘンです。胸を張って悩んでください。
感情を感じるのにとても時間がかかって自信が持てないというのは、たとえば人から嫌なことを言われたときに、自分が怒っているかどうかよくわからなくて、だんだん怒りがこみあげてきても、本当に怒っていいのかどうか迷ってしまう……という感じでしょうか。嬉しいことや悲しいことがあったときも、同じように慎重になってしまうんでしょうね。
自分の感情や考えは、たしかにアテになりません。「あいつだけは許せない!」と腹を立てていても、じつは相手のせいではなく自分が勝手に卑屈になっているだけなんてケースはよくあります。しかし、自分の頭の中の話ですから、べつに間違っていてもいいんじゃないでしょうか。どこにもない「正解」を探し求めていたら、そりゃ、自信は持てません。
ハードル競技でオリンピックに3度出場した為末大さんは、こう言っています。
【大人になって自分を認められるのは自分しかいません。もう無条件で認めてくれる母親的存在はいないんです】
自分の感情や考えなんですから、自分でお墨付きを与えてあげましょう。そこには、正解も間違いもなく、強いて言えばすべて正解です。もしかしたらあなたは、母親的存在からの安心できるお墨付きを、心のどこかで期待しているのではないでしょうか。もちろん、あなたの実際のお母様がお元気かどうかは、この際、関係ありません。
だけどそもそも、いいことと悪いことが半々なんだったら、「自分はそういう性格なんだ」ってことで、無理に「改善」しなくてもいいのではないでしょうか。自分の感情や考えに自信が持てるようになったとしても、たぶん、いいことと悪いことは半々ぐらいです。感情や考えだけでなく、自分の性格についても「そういうもの」と認めてあげてもいいかと。
為末大さんは「誰も答えは持っていないんです、あなた用の答えは」とも言っています。自分の感情も考えも性格も、自分で「それが正解」と思ってしまえば何の問題もありません。安心できるお墨付きが欲しい気持ちもわかりますが、為末さんの言葉に後押しされながらハードルを飛び越えましょう。……いや、けっしてそれが言いたかったわけではなく。
【今回の大人メソッド】他人に認めてほしいならまずは自分で自分を認めよう
『日本人の人生相談』 この一冊で「日本人の悩み」は解決できる! |
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