為替変動に強い[スイス株]入門

世界に誇るグローバル企業が名を連ねるスイス株。有望銘柄が勢揃いしているにもかかわらず、これまで日本人投資家が手を出すことは少なかった。アベノミクスで国内株式市場の割安感が減りつつあるなか、今こそスイス株に投資すべきチャンス到来か!?

スイス株投資の為替リスクは?

⇒【前編】優良企業がひしめく[スイス株]入門  個人投資家のwww9945氏は、10年前に店舗型の東海東京証券でネスレを購入。株価は170%上昇し、為替差益を含め+103万円になった。 「銘柄は限られますが、ネット証券で買う方法もあります。ノバルティスやクレディ・スイス、UBSなど一部のスイス企業は米国株市場に『ADR』(米国預託証券)として上場。楽天やマネックスなどの証券会社が扱っていて、手数料1%以下で買えます」  スイス株の購入方法はわかった。  しかし、スイス株投資で気をつけないといけないのが為替リスク。1月にはスイス中央銀行が金融政策を突如変更する「スイスショック」でスイスフランが急騰したばかりだ。スイス株の資産価値は増えるが、海外売上比率が高いスイス企業の業績には悪影響となる。 「しかし、スイスショック後のフランはジリ安傾向です。スイス中銀はフラン売りの介入を続け、マイナス金利を導入したことでフラン買いは一服しています。今後数か月は対ドルでフランのジリ安傾向は続きそうです」(ストラテジストの山本雅文氏)  スイス企業側もフラン高対策を講じている。スイス企業の高級ブランドがこぞって値上げ。ロレックスは今年2月に7~8%の値上げを発表したばかりだ。 「価格競争とは無縁のオンリーワン企業として確固たる地位を築いているためです。またネスレは製品の9割が消費地での生産、ノバルティスも約8割がスイス国外での生産なので為替の影響は少ないでしょう」(www9945氏)  50年、100年と世界で戦ってきた企業が多いだけに、為替への耐久力は日本企業の比ではない。  何より為替リスクも高い手数料も気にならない安定成長期待こそ、スイス株の強み。純粋にキャピタルゲインを狙えるスイス株を始めてみてはいかがだろうか。

[購入方法別]日本人が買える主なスイス株

●クレディ・スイス・グループ[CS](ADR) 現在価格:23.53ドル/配当利回り:3.34%/取扱証券会社:楽天証券 投資銀行業務や富裕層向けプライベートバンキングなどをグローバルに展開する総合金融企業。1856年の創業以来、守秘義務の壁に守られ発展したが情報開示圧力の高まりが懸念されている ●シンジェンタ[SYT](ADR) 現在価格:67.09ドル/配当利回り:3.48%/取扱証券会社:楽天証券、マネックス証券 ノバルティスとアグリケミカルの農業関連部門が合併して設立。知名度は低いが、世界最大級の農業関連企業。農薬分野では世界トップ、種苗では世界3位に ●ノバルティス[NVS](ADR) 現在価格:97.46ドル/配当利回り:2.89%/取扱証券会社:楽天証券、マネックス証券 世界2位の医薬品メーカー。薬品やワクチン、診断薬はもとより視力関連、 動物用ヘルス商品なども製造していて、グーグルとの共同で「スマートコンタクトレンズ」にも着手し、注目を集める ●ABB[ABB](ADR) 現在価格:20.75ドル/配当利回り:2.86%/取扱証券会社:マネックス証券、楽天証券 世界最大級の重電メーカー。電力、重電、重工業などの事業を100か国以上で展開する。従業員13万人のうち、スイス本社勤務は300人のみの典型的な多国籍企業。中国進出を強化している 【www9945氏】 個人投資家。サラリーマン時代に100万円弱で投資を開始。昨年資産2億円を突破して会社を退職。晴れて専業投資家に。http://plaza.rakuten.co.jp/www9945/ 【山本雅文氏】 ストラテジスト。日本銀行やバークレイズ銀行を経て独立。世界経済から為替市場まで卓越した分析力で予測する。 http://praevidentia.com/ 取材・文/高城泰(ミドルマン) 写真/時事通信社 Howard Lake Clotee Allochuku chinnan