2019年の参院選の直後、MXテレビの「5時に夢中」に出演していた
マツコ・デラックスさんが、N国党の議席獲得についてコメントを求められて、「
このままではただの気持ち悪い集団」と評価した。普通は、こう言われたら「気持ち悪い集団にならないように頑張ろう」と言って、真面目に政治に取り組むことを誓うものだが、立花孝志は「マツコ・デラックス被害者の会」という法人を立ち上げ、マツコ・デラックスさんを集団で提訴した。
この裁判は4月15日に東京地裁で判決が下され、
立花孝志らの請求は棄却された。つまり、マツコ・デラックスさんには何の非もなかったことが裁判上でも証明されたのだ。つまり、立花孝志らは、何の非もないコメンテーターを今日の今日まで悪者のように扱ってきたのである。
マツコ・デラックスさんのコメントから約2年。おふざけ政見放送が話題になって国政政党になった今、N国党は何をやっているのか。それは、松本サリン事件が起こった長野県の参院補選に立候補し、その政見放送で「ホーリーネーム」だの「ポア」だのという言葉を用い、長野県民の気持ちを逆撫でして喜んでいるのである。これを「気持ち悪い集団」以外のどんな言葉で表せばいいだろう。まさに、あの時に
マツコ・デラックスさんが指摘したことが、そのまんまその通りになっているのである。
なお、マツコ・デラックスさんを訴えた裁判では、村岡徹也弁護士が「不当判決だ」と言い放ち、立花孝志はメディアの偏向報道に対する抑止力になったと自己評価している。実際は、片っ端から裁判を起こす面倒臭い奴なので、誰にも相手にされなくなり、世間から嫌われ、選挙では「
28連敗」という金字塔を打ち立てているのである。まもなく「31連敗」になる。
総額900万円以上をかけ、衆参補欠選挙に立候補。迷惑系YouTuberらしい政見放送を繰り広げ、世間からますます嫌われている立花孝志。それでもまだ世間の注目を浴びたいらしく、6月20日に行われる
船橋市議補選には複数の候補者を擁立する計画を立てている。
具体的には、「パチンコ党」や「動物愛護党」など、さまざまな諸派の政党から候補者を擁立し、どの政党が最も人気が高いのかを探り、次回の衆院選では人気の高い政党に看板を架け替え、政党助成金をもらうための条件となる2%以上を目指そうというのである。
しかし、この姿勢を見てもらえれば分かるように、
立花孝志の「一丁目一番地」であるはずのNHK受信料問題は、人気がないと分かれば、あっさり捨てられてしまう。つまり、
立花孝志はただのポピュリストであり、人気があるからNHKの受信料問題をやっているだけで、人気がないのなら他のイシューを訴えるだけの話である。
ただ、どうしてN国党の人気がなくなっているのかと言えば、人々がNHKの受信料問題に関心を持たなくなったのではなく、「
立花孝志に関心を持たなくなったから」に他ならない。知性と社会常識が欠如した、うだつの上がらない集団に期待することなんて何一つないだけで、NHKの受信料問題そのものは、今も関心の高いテーマである。要するに、人々の関心が立花孝志から失われているので、これから立花孝志が何をやっても、もう期待されることはない。
それでも私があえて記事にするのは、この「N国党」という存在が、社会にどれだけ迷惑をかけているのかを知っていただきたいからである。彼らを許せば、また同じような新しい団体が出てきて、社会に迷惑をかけるようになるからだ。
<取材・文/石渡智大>
普段は選挙ウォッチャーちだいとして日本中の選挙を追いかけ、取材。選挙ごとに「どんな選挙だったのか」を振り返るとともに、そこで得た選挙戦略のノウハウなどを「
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