色覚の違いで世界はどう見える? Webブラウザの基本機能で色覚多様性をエミュレートできる

Microsoft Edgeの色覚多様性のエミュレート

 このエミュレートの機能は、Google Chrome だけでなく、最新の Microsoft Edge でも利用できる。現在の Microsoft Edge は、Webブラウザの描画部分は、Chromium という Google Chrome と共通のものだ。Edge は、メニューの項目名が異なっているため、こちらの使い方も紹介しておこう。  Microsoft Edge 右上の「…」ボタンを押してメニューを表示して、「その他のツール」>「開発者ツール」を選択し、開発者用ツールの画面を表示する。  開発者用ツール内の「…」ボタン(DevTools のカスタマイズと制御)を押してメニューを表示して、「その他のツール」>「レンダリング」を選択する。  細かな設定が並んだパネルが表示されるので、下の方にある「視覚異常のエミュレート」のドロップダウンリストから確認したい項目を選択する。  こちらは日本語化されているので、開発者でなくても使いやすいだろう。項目は、以下のようになっている。内容は、Google Chrome と同じだ。 ・エミュレーションなし ・ぼやけた視界 ・1型 2色覚 ・2型 2色覚 ・3型 2色覚 ・1色覚

カラーユニバーサルデザイン

 Webブラウザで色覚多様性をエミュレートできることは、応用範囲が広い。たとえば、スマートフォンやデジタルカメラで撮った写真をWebブラウザで表示すれば、どのように見えるのか確認できる。  また、この機能は動画にも適用される。そのため、ふだん見ている Youtube で、異なる色の世界を体験することも可能だ。  最近では、カラーユニバーサルデザインという言葉もよく目にするようになった。人間の色覚の多様性に対応して、より多くの人に利用しやすい配色の製品や施設・建築物、環境、サービス、情報を提供するという考え方だ(カラーユニバーサルデザイン機構。)。  物の見え方には多様性がある。そのため、より多くの人が情報にアクセスしやすくする配慮が必要だろう。  いつも使っているWebブラウザで、見え方の違いを確認できる。手軽に試せるので体験してみてはどうだろうか。 <文/柳井政和>
やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『レトロゲームファクトリー』。2019年12月に Nintendo Switch で、個人で開発した『Little Bit War(リトルビットウォー)』を出した。2021年2月には、SBクリエイティブから『JavaScript[完全]入門』、4月にはエムディエヌコーポレーションから『プロフェッショナルWebプログラミング JavaScript』が出版された。
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