乃木坂46のパチスロ登場で店が抱える悩みのタネと、垣間見える業界の事情

アイドルとのタッグは業界の起爆剤にもなりうるが……

 一方で、パチンコ店としては悩ましいところでもある。  一気に18種類18台を購入出来れば良いのだろうが、経営の懐事情がそれを許さない。機種選別の担当者としては、「じゃあ一体、誰のパネルを買えばいいのか?」ということになり、アイドル事情に詳しくない人であれば、まったく選別の基準を持たないことになる。  昨今、パチンコ店の広告宣伝規制が厳しく規制されるなか、機種とタイアップしているキャラクターの誕生日なんかを上手く利用する傾向もある。パネルにも登場する、某メンバーの5月5日の誕生日なんかを狙い目とするパチンコ店があってもおかしくない。  なにはともあれ、コロナ禍で厳しい環境におかれているパチンコ業界にとって、どんなことであっても前向きな話題になることであれば「良いこと」であり、稀代のアイドルグループがその切っ掛けになるのであれば、諸手を挙げて迎えたいところではある。

「沖ハナ」にみるパチンコ業界の2つの事情

 乃木坂46とのタイアップで注目されている「沖ハナ」であるが、このパチスロ機からは、2つの業界事情が垣間見える。  一つは、パチンコ業界が推し進める旧規則機の撤去との兼ね合いである。  本件に関しては、過去の記事にも書いているが、本来であればパチンコ店が撤去しなくてはならない「沖ドキ」という人気パチスロ機があり、「沖ハナ」が、この「沖ドキ」と類似しているという点。  詳しい業界事情をのべつ幕なしで書き連ねることは出来ないし、5号機の「沖ドキ」と6号機である「沖ハナ」を単純に比べることは出来ないが、パチンコ業界全体としては、また京楽産業としては、この「沖ハナ」を始めとする6号機の「沖縄系パチスロ」が、業界の頭を悩ませている「沖ドキ問題」の解決に資すれば良いと皆が思っているだろう。  もう一つ、垣間見える業界事情は、「沖ハナ」の上部パネルの花火図柄だ。「沖ハナ」では、大当たりの際は、この花火図柄がチカチカと光出すという。しかし本来、「沖縄系パチスロ」の定番図柄は、沖縄を代表する花でもあるハイビスカスだった。  しかし「沖縄系パチスロ」の最大手メーカーであるパイオニアが、昨年8月に、このハイビスカス図柄の商標登録を行ったのだ。この商標登録により、第三者によるパチスロ及びぱちんこ遊技機に関する「ハイビスカス商標」の使用について、「形状等が近似するものを含めて」類似する商標の使用を禁止された。  今回の「沖ハナ」で、機種形態にそぐわない「花火」図柄が採用されたことは、ここらへんの事情が絡んでいると業界関係者は言う。  パチンコ業界の様々な事情が内包された新機種パチスロ機。その行く末や、果たして-ー? <取材・文/安達夕>
Twitter:@yuu_adachi
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