YouTuberがMCバトルで活躍、レジェンドの晋平太が逆にYouTuberに。MCバトルシーンの今<ダメリーマン成り上がり道 #42>

MCバトルの壁を破ったラッパーたち

 ――最初はどうやって戦極に誘ったんですか?  正社員:「誘ったというか、もともと戦極とかUMBとかKING OF KINGSとかにバンバン出てたヤツなんですよ。最初は変わったことしてるなぁって感じだったんだけど、一時期からすごい人気になっちゃって。  でも人気だけじゃなくて実力もあるからKOKの西日本予選で優勝したりもしてますからね。がーどまんは今でも大会に出てるけど、お金とか人気獲得とか関係なく好きでやってるんじゃないかな。一番ピュアなのかもしれない。アスベスト的に最近のバトルで気になったMCとかいる?」  アスベスト:「ミステリオかな。『便が立つ話屋』っていう感じで印象に残った。あと彼に限らず、乗り方が音楽的な人とかめっちゃ増えてるよね。MU-TONとか」  正社員:「昔のMCバトルには『韻を踏もうとしてネタの羅列になっちゃうタイプ』か、『ちゃんと会話をしようとしたら韻が踏めないタイプ』のどちらかばかりで、韻と会話を高いレベルで同時にこなせるのは晋平太とR-指定しかいなかったと思うんだよね。それが今は両方を高いレベルでできる人が何人もいる。全体のレベルが上がったんだよ」  アスベスト:「僕としては、MCバトルがスポーツ化したところで頭打ちかなと思ってたんですけど、その先の進化があったんだなと驚いてますね」

戦極MCバトルでの活動復帰はあるか?

 ――対談の最後ということで伺いたいんですが、アスベストさんはこの先のMCバトルにどんなことを期待したいですか?  アスベスト:「ヒップホップファンとしてはレコ大ミュージックステーション紅白がヒップホップ、R&Bのアーティストで埋め尽くされてほしいので、そのスターを生み出す場としてMCバトルにはもっと発展してほしいですね。  あとはラップやっている人たちは、『自分は何のためにラップをしているのか』という軸をブラさずに活動を続けてほしいし、それで幸せになってほしい。僕はラップをしているあいだ、それが何度かブレちゃって、ラップから離れることになっちゃったので」  ――正社員さんにとってアスベストさんは、今でも仕事の愚痴や悩みを相談できる存在なんですよね。  正社員:「きれいな言葉で言ったら、本当に恩人ですよね。アスベストがいなかったら、MCバトルの主催者として今みたいな活動をは絶対できなかったから。戦極の前身の戦慄をメチャクチャに変えていくとき、よく付き合ってくれたなと思うし。だからさ、どう? また戦極のバトルに出てみる(笑)?」  アスベスト:「出るわけないでしょ! 顔出すとかは全然いいんだけど」  正社員:「どこかで一回だけ復活してほしいけどね。『アスベスト戦慄MCBATTLE杯』とかやりたいな。ペニスキャラになる前のゆうまにも出場してもらう(笑)」  アスベスト:「そういう昔の関係者のお祭りとかならいいよ、じゃあ」  正社員:「本当に? ギャラは払わずにエントリー2000円取るけど(笑)」  アスベスト:「それなら家で子供と遊ぶかNetflixでも観てたほうが全然いいよ!」 <構成・撮影/古澤誠一郎>
戦極MCBATTLE主催。自らもラッパーとしてバトルに参戦していたが、運営を中心に活動するようになり、現在のフリースタイルブームの土台を築く
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