なぜ彼らは連続企業爆破事件を起こしたのか。東アジア反日武装戦線に迫る『狼をさがして』キム・ミレ監督インタビュー

抑制された演出

 「狼をさがして」は、とても“地味”な映画である。「さそり」のメンバーだった宇賀神寿一や2017年に出所した浴田由紀子らの姿を淡々と映し出す。なぜこうした抑制された演出にしたのだろうか。 「この映画は、人生の生き方のジレンマ、善悪のジレンマを描こうとしています。彼らは、目指すものは間違っていなかったとしても、犠牲者を出すという間違いを犯してしまい、取り返しがつかなくなってしまいました。
(C)Gaam Pictures

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 私自身、共感はしているけれども、犠牲者がいるのは事実です。過去を振り返れば、日本の戦争や虐殺があり、アジアにたくさんの被害者が生まれました。抑制をきかせて、そうした事件の背景を表現しようというのがありました。  逮捕されたメンバーたちは、監獄で何度も何度も繰り返し事件を振り返るしかありません。そうした心の動きを表現しようと、抑制をきかせて、派手にはならないようにしました。霧をかけるといった工夫で表現しようとしたのです」  最後にキム監督は「このような事件がなぜ起きたのか、日本社会でもっと議論が起こればいいと思います」と話した。 <取材・文/HBO編集部>
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