「優しくされた恩返しに地域の活性化に貢献したい」。コロナ禍で「共助」に前向きな人々

画像はイメージ(adobe stock)

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 3月21日、首都圏を中心に発令された緊急事態宣言が解除されたものの、依然として先行きは不透明だ。  そんな時期だからこそ、自分にできることをして周りの役に立とうと前向きな行動をする人もいる。  筆者がハーバービジネスオンラインで何度か紹介した「ご近所SNSマチマチ」には、近くに住むユーザーに向けて積極的に情報共有する「マチマチ公式地域レポーター」という制度がある。  これは一度目の緊急事態宣言が発令された昨年4月から始まった取り組みで、2021年3月時点で全国で750人が活動している。コロナ禍でマチマチ公式地域レポーターとして投稿を続ける3人を見てみよう。

保育園の情報を提供して、次年度の保活に役立てたい

 武田さん(仮名)は、お子さんが1歳のタイミングで都内から神奈川県へ家族で引っ越した。当時武田さんは育休中で復職を控えていたこともあり、都内在住時から転居先での保活に備えマチマチを使って保育園の情報を調べていた。  しかし「マチマチ上には私が求める投稿は少なく、期待する情報を得られませんでした」と武田さんは振り返る。このことがきっかけで武田さんは、「次年度に保活をする親御さんに向けて、私は積極的に保育園情報を発信しよう」と思うようになり、マチマチ公式地域レポーターとしての活動をスタートした。  具体的には、見学に行った保育園の様子を外観写真を添えてマチマチに投稿。初めは反応が少なかったものの、やがてコメントがつき始め、こんなことが起こった。 「子どもが通っている保育園の先生から『武田さんがマチマチに投稿したコメントを見て見学に来られた方がいましたよ』と言われたんです。自分が発信した情報が誰かの役に立ったと思えて嬉しかったですね」  保育園に関すること以外には、近所のスーパーのチラシの写真も投稿。不要不急の外出を控えるため、まとめ買いがしやすいお店の情報も発信した。

オンラインのママ友とリアルで繋がった

 武田さんは、マチマチを通じてママ友ができた。 「最初はマチマチ上でコメントのやりとりをしただけでしたが、やがてママさんたちとLINEを交換し、お互いの近況を報告し合いました。緊急事態宣言が解除されていた夏の時期にファーストフード店に集まり、実際にお会いしました。オンラインがオフラインに繋がりましたね!」  武田さんは嬉しそうに当時の心境を話してくれた。ママ友からは、お子さんが使わなくなった靴をもらうこともあったという。  以前は「隣室にどんな人が住んでいるかもわからなかった」が、コロナ禍で「いざというときに頼りになるのは近所の人だと思うようになった」とご近所づきあいについての意識に変化が生じた。  さらに、「マチマチのおかげで人との繋がりを感じられた」といい、発信のメリットを次のように話してくれた。 「昨年の春は保育園が臨時休園になった時期でもあり、子どもが入園できたのは6月のことでした。ステイホームの暮らしでは対面でのコミュニケーションが取りにくかったのですが、でもマチマチでの発信を通じてご近所の方と交流ができて、閉塞感を抱かずにすんだなと思っています」
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