似非「伝統」や穴だらけの「少子化」論。選択的夫婦別姓をめぐる日本の議論について外国人に聞いてみた

夫婦イメージ

shimi / PIXTA(ピクスタ)

 岡山県議会で意見書が可決されるなど、再び議論が過熱している「選択的夫婦別姓」。男女共同参画を担当する丸川珠代大臣が、反対を呼びかける書状に署名をしていたことが海外メディアに報道されるなど、導入への道のりはまだまだ険しい。

国連からの勧告を繰り返し無視

 ご存知の方も多いだろうが、夫婦で同姓しか選択肢のない国は、世界的に見ても極めて稀だ。  昨今、議論が活発化しているため、一見すると夫婦別姓は「新しい」ように思えるかもしれない。  しかし、日本は1985年に国連の「女性差別撤廃条約」に批准しており、この内容には夫婦別姓も盛り込まれている。つまり、理屈から言えば、日本政府はとうの昔に夫婦別姓に同意しているわけだ。  ところが、繰り返し国連から勧告を受けながらも、夫婦別姓はまるで実現せず。1996年には法制審議会によって選択的別姓の導入が答申されたが、四半世紀たった今でも、具体的には何も前進していないのが現状だ。  むしろ導入で述べたように、夫婦別姓に反対の立場である人物が男女共同参画大臣を務めるなど、進むどころか退行していると言ってもいいかもしれない。

世界でも珍しい日本の制度

 筆者が住んでいる東欧・ポーランドでは、同姓別姓複合姓の3つから選ぶことができ、そのほかの欧州諸国でも細かい違いはあるが、「夫婦はだちらかの姓に統一して名乗る以外認められない」という国は見当たらない。  これはヨーロッパに限った話ではなく、アフリカや南米、アジア諸国でも同様だ。国際的なスタンダードからいえば、日本だけが特殊であることは、もっと知られるべきだろう。  では、そんな日本の制度について、外国人たちはどのような感想を抱いているのだろうか。夫婦別姓をめぐる議論のなかで、争点となっている3つのキーワードとともに、ご紹介したい。
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選択的夫婦別姓は「伝統」を壊してしまうのか
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