突如、「質問通告されていない」と逆ギレする武田大臣
ここまでのやり取りで、
主張①「個別事案の答弁は控える」を
3回も連発して、答弁を拒否した武田大臣。しかし、
2月16日に武田大臣自身がまさに個別事案(=東北新社との会食の有無)について答弁していたという事実を小西議員が仄めかしたことで追い詰められていく。この状況に苛立ったのか、武田大臣は驚くべき行動に出る。
主張の②「質問通告がされていない」と言い出して、小西議員を強い口調で責め始めたのだ。そもそも、NTT澤田社長との接待有無についてはこれまで何度も論点になっていた問題であり、また2月16日の武田大臣の答弁については自分自身のわずか1ヶ月前の答弁である。いずれも通告の必要性自体が極めて低いと考えられる。それにもかかわらず、武田大臣は
「逆ギレ」と形容して差し支えない口調で小西議員に対して声を荒げていることが下記の動画でもハッキリと確認できる。
その質疑は以下の通り。(下記の動画リンクの3分40秒〜)
武田大臣:
「委員ね、
これ正確さを極めるために通告して下さいよ! 委員、委員、小西委員! 通告、ちゃんとして下さいよ!」
*小西議員は「
通告してます!」と即座に抗議
武田大臣:
「じゃあ、ちょっと見せてよ。通告書、見せてよ。」
*森裕子理事が「何が通告ですか。あなたの答弁について聞いてるんです」と抗議。質疑が1分20秒ほど中断。その間、山本順三委員長や武田大臣は2月16日の議事録や本日の質問通告と思われる紙の内容を確認。
武田大臣:
「当時、
法人とかじゃない、菅正剛個人の問題・・・、氏個人の問題をぶつけられたんでしょう? そうでしょ?」
*筆者コメント:
主張③「個人名を特定した質問だから菅正剛氏の件は答えた」1回目
*森裕子理事が「何を言ってるんですか?個別の問題には答えないと言ったじゃないか」と抗議。質疑が40秒ほど中断。
武田大臣:
「
個人を特定されたわけでしょう? 岡島委員は、個人を。」
*筆者コメント:
主張③「個人名を特定した質問だから菅正剛氏の件は答えた」2回目
小西議員:
「
武田総務大臣は2月16日に立憲民主党・岡島一正議員の質問にですね、『東北新社の、これ関係者と会食したことがありますか』という問いに対して『ございません』と、個別の会食の有無を答弁しています。にもかかわらず何故、
私の質問は、NTT幹部というふうに質問通告で日本語で書いてあります。NTT幹部と会食をしたことがあるかの質問に、なぜ答弁拒否をするんでしょうか。なぜ、それが許されるんでしょうか。答えて下さい。」
*筆者コメント:小西議員の上記発言によって、
武田大臣の主張①「個別事案の答弁は控える」と②「質問通告はされていない」はいずれも理由として成立しないことが明らかになる
武田大臣:
「当時、
具体的な個人名称を挙げられたんですよ。個人の。どこの会社、どこの団体って、個人の、具体的な個人の名称を挙げられたんですよ。」
*筆者コメント:
主張③「個人名を特定した質問だから菅正剛氏の件は答えた」3回目
個人名を特定して質問しても答弁拒否するという無限ループ
ここまでのやり取りで、
主張①「個別事案の答弁は控える」と主張
②「質問通告はされていない」を続けるのはさすがに苦しいと判断したのか、
主張③「個人名を特定した質問だから菅正剛氏の件は答えた」を繰り返すようになった武田大臣。
これに対して、小西議員は丁寧に「NTTの澤田社長」と個人名を特定した上で会食の有無を改めて質問する。だが、武田大臣はまたしても驚くべき答弁を行い、一同を唖然とさせる。その質疑は以下の通り。(下記の動画リンクの7分47秒〜)
小西議員:
「じゃあ、武田総務大臣は大臣就任後、NTTの澤田社長と会食したことはありますか?」
武田大臣:
「
個別の事案についてはお答えを差し控えさせて頂きます。」
*筆者コメント:
主張①「個別事案の答弁は控える」4回目
小西議員:
「
東北新社の菅正剛氏との会食に答えて、NTT澤田社長との会食の有無について答えられない理由を答弁して下さい。」
*筆者コメント:
個人名を特定して質問しても武田大臣は答弁拒否を続けており、主張③「個人名を特定した質問だから菅正剛氏の件は答えた」についても理由として成立しないことが明らかになった
武田大臣:
「
個別の事案については一つ一つお答えは差し控えさせて頂きたいと思います。」
*筆者コメント:
主張①「個別事案の答弁は控える」5回目
小西議員:
「委員長。武田大臣の答弁は国権の最高機関である国会に対する審議妨害であり、答弁拒否であり国民を愚弄する行為です。委員長から厳しく答弁するように指導をお願いいたします。」
約8分間に及んだ質疑の内容は以上である。この後、与野党の理事が集まって協議するが、結局、
自民党・山本順三委員長は武田大臣に答弁するように指導することはなく、支離滅裂な答弁を容認。その後も小西議員は「NTT澤田社長と会食したことがあるか?」と個人名を特定した上で質問するが、武田大臣は「個別の事案にはお答えを差し控える」と答弁拒否を続けて、質疑は終了した。
これまでも自民党議員が委員長を務める委員会において、中立性を欠く運営は日常茶飯事だったが、ここまで筋が通らない答弁拒否を繰り返す閣僚に対して、委員長が一言も注意しないというのは、さすがに底が抜けてしまった感がある。
<文・図版作成/犬飼淳>
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@jun21101016
いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身の
noteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。
noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(
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