自分らしくあるために必要なこと。男性がミスコンに出場!?『MISS ミス・フランスになりたい!』

自分の価値を決めるのは誰か

 幼い頃事故で両親を亡くしたアレックスは自分に自信がない。そこで「ミス・フランス」になり、何者かになって自信を取り戻したいというのがコンテストの応募のきっかけだった。しかし、アレックスはコンテストを戦っていく中で自分と向き合い、自信を持ち、本当に大切なものは何かを発見する。  「自己承認欲求」という言葉がネガティブに使われる昨今であるが、その本当の意味をこの映画は問うている。  劇中にもInstagram、Twitterなどが頻繁に登場し、アレックスの美しさに磨きがかかるにつれてフォロワーも増えていく。SNSで自分の行動の一挙手一投足を知らない誰かに披露して肯定的な評価が付く。
(C)2020 ZAZI FILMS – CHAPKA FILMS – FRANCE 2 CINEMA – MARVELOUS PRODUCTIONS

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 しかしながら、次第にどこまで「いいね!」が付けば自分を満足させられるのかといった息苦しさも感じるだろう。裏を返せば、その息苦しさを味わって初めて「自己承認は誰によって得られるべきなのか」について自分自身が向き合う機会を得られるのかもしれない。  アレックスは自分を世間に常に晒し続けるミスコンによって「自分の価値を決めるのは自分」という結論に辿り着いた。  しかし、私たちがその機会を日常生活で得ることは難しい。自分自身の価値を決めるのは誰か。SNS社会になり、誰でも自己演出することができるようになった今、この映画はそのことの本当の意味を観る者に投げかけていると言えよう。ぜひ、劇場で見ることをお勧めしたい。 <文/熊野雅恵>
くまのまさえ ライター、クリエイターズサポート行政書士法務事務所・代表行政書士。早稲田大学法学部卒業。行政書士としてクリエイターや起業家のサポートをする傍ら、自主映画の宣伝や書籍の企画にも関わる。
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