3.フィードバック遅延
これはリアルでのプレゼンは上手だが、
オンラインになった瞬間、下手になる人に典型的な理由だ。
オンライン会議だと、ネットワークの関係で数秒遅れて相手に言葉が届く。そのときに
沈黙の間が発生してしまうことは、多くの人が経験しているはずだ。
たとえば、商品のプレゼンが一通り終わったあとに、「
以上になりますが、いかがでしょうか?」と投げかけると、「
……(3、4秒ほどの沈黙)……うん、素晴らしいと思います」のような、相手に言葉が届くまでの時間と、相手が返事を考えて出すまでの時間が、リアルでのプレゼンに比べて圧倒的に長く、この
沈黙に人は不安や緊張を感じてしまう。
なぜなら、人は「
ネガティブバイス」という、
物事を悪いほうに考える思考のクセを持っており、この沈黙のときに相手が何を考えているか想像すると、悪いほう、悪いほうに考えてしまう。
「
理解しずらかっただろうか?」「
商品が合わなかっただろうか?」など、沈黙にネガティブな想像が起きてしまう。身近な恋愛の例だと、気になる相手にLINEをして返事が遅いときに、「
あれ、嫌われたかな」と思ってしまうのも、ネガティブバイアスによる影響だ。しかし、それは認知の歪みのため、
事実とは異なることが多い。
プレゼンがうまい人は、フィードバックをリアルタイムで受け取り、返すなど会話のテンポがいい。まだオンライン会議で本領を発揮できていない場合は、この
沈黙の扱い方に慣れていない可能性がある。
どうしても沈黙に慣れない場合は、「
結論から話す」「
ゆっくり話す」というのが効果的だ。これは、相手に話すための準備をさせることができるので、
沈黙の時間を縮めることができる。
Zoom疲れをしている理由の多くは、「
無駄に力が入っている」ということに尽きる。
初めて自転車に乗ったときに、ハンドルを握る手や、ペダルを漕ぐ足、椅子に座るお尻、バランスを取ろうとする体幹など、あらゆる場所に力が入って疲れたはずだ。Zoom疲れも同じで、
心や身体が力み過ぎている。
そのため、Zoom疲れを感じている組織や人がいる場合は、Zoomを使った
雑談をするなど、
Zoomで会話する頻度を増やすとよい。
我々は、
まだオンライン会議に心も身体も適応できていない。適応するためには、
まずは量を増やすことが効果的だ。そうすると、力の抜き方もわかるはずだ。
<取材・文/山本マサヤ>