2月25日の衆院総務委員会で答弁する参考人の山田真貴子内閣広報官(中央・現在は辞任)。後方左は武田良太総務相(時事通信社)
菅義偉総理お気に入りの
山田真貴子報道官が辞任し、菅総理が次の総務事務次官に推していると噂される
谷脇康彦総務審議官が渦中の人となった、総務省接待問題については、国会での疑惑追及が今も続いている。
特徴的なのは、
武田良太総務大臣のみならず、菅総理も含め、答弁にたつ閣僚や政府側参考人が「申し訳なかった」「深く反省する」を連発していることだろう。ここまで素直な反省の弁が閣僚連の口から発せられるのは、近年、稀と言っていい。
森友や桜を見る会問題を思い出してみればいい。明々白々たる国有地の不当廉売、明々白々たる公職選挙法違反にも関わらず、当時の閣僚たちはここまで素直に謝ることはなかった。
あの頃の閣僚といまの菅政権の閣僚の顔ぶれにそれほどの違いはない。総理自身も前政権での官房長官ではないか。閣僚たちのパーソナリティーに変化があったから素直さを取り戻したわけではなかろう。
閣僚たちはたかを括っているのだ。
騒動の大元となった週刊文春の記事は、総理の息子・
菅正剛が総務官僚を接待するのみならず、贈答品まで送っていたことを伝えている。立派な
贈賄事件だ。
しかし不思議なことに野党はなぜかこの事件を、
公務員倫理法違反にのみ立脚して追及している。あの法律には「接待受けたら報告しろよ。その報告がなけりゃ、省内で処分するぞ」との規定があるだけ。省内での処分が済めば余人が口を挟むことはできない。疑惑を追求される政府側からすれば、「はいはい。野党の皆さんのおっしゃる通りですよね。こいつら役人は、贅沢三昧の人非人。処分しますねー。ごめんねー」とさえ言っておけば、話はすむということになる。これ以上法的にやれることはないのだから、早晩、この問題は立ち消えになるだろう。
刑法に基づく贈収賄としての追及ではなく、公務員倫理法に基づく追及を基本に据えてしまった野党の戦略ミスと言う他はない。
野党側は、世論の高まりに期待したのかもしれない。市民がコロナ禍による生活苦に喘いでいる中、総理の息子が、一回数万円の豪華な食事を官僚たちに振る舞っている。その様子が伝われば、政権に対する批判の声が高まるに違いないと踏んだのかもしれない。が、それは甘い。それはもう週刊文春が野党なんぞの手の届かないレベルの高さで、見事にやってのけているではないか。国会議員の出る幕ではないのだ。