「1人じゃないよと伝えたい」同性カップルユーチューバーがLGBTQ向けに部屋探しを支援する理由

LGBTの住まい探しに特化した不動産窓口

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画像はイメージ(adobe stock)

 同性を恋愛対象としたり、生まれてきた性と自認する性が異なったりする人々を「LGBT」と呼ぶ。LGBT総合研究所が昨年11月に発表した調査によれば、こうした人々は、日本には約1割いる。  異性愛者に比べると少数のため、LGBTは周囲からの無理解に悩むことが多い。時には、日常生活に支障をきたすこともある。住まい探しは、LGBTが直面する壁の一つ。物件の所有者が、LGBTカップルの同居に難色を示すことが多いためだ。  このような状況の中、レズビアンユーチューバーとして約9万人の登録者数を誇る人気チャンネル「エルビアンTV」を運営するReyan(れーやん)さんとUさんは今年2月、LGBTの住まい探しに特化した不動産窓口「KATATI不動産」を開設。当事者目線で部屋探しをサポートする。  「KATATI不動産」は、LGBTが抱える住居問題にどう向き合い、解決していくのか。2人に話を聞いた。 ※LGBTとは、レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシャル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の略だ。近年では、「自分の性的志向がわからない」「定まっていない」といった意味を持つ「Q(クエスチョニング)」を加え、LGBTQと呼ぶことが多い。本稿では次節よりこの呼び方を採用する。

不動産業者に「自分はLGBTQです」と言いにくい

 LGBTQの部屋探しの難しさについて、Uさんは次のように話す。 「大きく分けると、当事者側と、業界でのLGBTQへの認知が不十分であることの2つの課題があります。  当事者の課題は、不動産業者に自分がLGBTQであることを話しにくいことです。物件に申し込む際には、『誰が住むのか』は絶対に必要な情報です。その際に、『私たちは同性のカップルで2人で住みます』と不動産業者に伝えることに抵抗を感じるのです。性的指向はとてもセンシティブな話題なので、初対面の担当者に言いにくいのは当然ですよね。  それに店舗ですと担当者以外のスタッフや他のお客様もいらっしゃいますから、会話の内容が聞かれることを嫌がる人は多いです」  自分がLGBTQであることは、家族や長い付き合いのある友人にカミングアウト(打ち明けること)するのにも勇気がいる。初対面の不動産業者に伝えるのを嫌がるのは当然だ。 「近年では同性カップルであることを自治体が認める『パートナーシップ制度』がニュースで取り上げられ、以前よりもLGBTQについての認知は広がってきたように思います。しかし、不動産業界においてはまだまだ認知に課題は残っています。  店舗の担当者がLGBTQについてよく知らないことや、同性カップルの入居に抵抗を感じる物件の所有者もいます。『どのような人かよくわからないので、入居させるのは怖い』と思われてしまうのでしょうね」  自分が知らないことには警戒心を抱くものだ。冒頭で紹介したように異性愛者が多い中では、不動産業者や物件所有者の中に「同居の場合は、異性カップルが普通だ」という思い込みがあるのも無理はない。  そのため現状では同性カップルが同居する場合、「友達同士」という名目で業者や物件所有者に伝えることが多い。こうすれば入居はできるが、本来の自分を出せないため、気持ちの面で辛い。
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スタッフは全員LGBTQの「KATATI不動産」
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