上司と部下の分断がさらに加速する言葉。指示出しで「なるはや」がNGなワケ

 「急ぎでやってくれ」と言われ、今日中に仕上げようと思ってがんばっていたら、昼に「まだ出来ていないのか」とどやされる。「なるはやで頼む」と言われ、自分なりの優先順位をつけて「明日、実施します」と返したら、嫌な顔をされる……。そんな、上司と部下の間で話が噛み合わないという悩みが絶えない。

人によって異なる「急ぎで」の感覚

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photo via Pexels

 噛み合わない原因は、上司と部下との間で「緊急度の基準」が異なっているからだ。だとすれば、緊急度の基準がどの程度食い違っているかを、たしかめてみればよい。  その方法は簡単だ。上司は「自分が指示している仕事」を、部下は「指示された仕事」を、それぞれ数分で緊急度の大・中・小に振りわけ、それを突き合わせるという方法だ。  筆者が実施している能力開発プログラムでこの演習を実施すると、「緊急度の大・中・小の基準は何ですか」という質問を受けることがあるが、自分が思っている基準で実施してもらう。普段、職場では細かく基準を確認することがあまりないからだ。普段どおりの状況を再現して演習する。  この段階ですでに、上司と部下で緊急度の大・中・小の分類が食い違っている業務があることがわかる。それが、上司と部下との間の、緊急度の基準のギャップだ。だとすれば、そのギャップを解消すればよい。

期日で重要度をすり合わせる

 ギャップを解消する方法は、2つある。ひとつ目は、「緊急度の見極めの幅を狭める方法」だ。上司は緊急度大を数時間と設定していたが、部下は緊急度大を今日中と設定していたという場合に役に立つ。  この場合、緊急度の大・中・小について、「大は今日中」「緊急度の中は今週中」「緊急度の小は今月中」というように、期日で区切って見極める。これですり合うようだったら、単なる時期のズレと言える。  その後は、しばらくの間、業務を指示したり受けたりするたびに、お互いに業務を実施する期限を確認していけばよい。しばらく確認していくと、実施期限が一致してくるので、細かく確認しなくてもよくなることが多い。
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緊急度の認識のズレは職務や人間関係にも影響する
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