「集団移住」といえば聞こえはいいが、引っ越しや移動の費用はどう工面するつもりなのか。
「ここでコロナ禍が活きてくるんです。インバウンド需要の消滅とオリンピックの延期により訪日客が激減。彼らを当てにして急増した民泊の多くが経営危機に瀕しています。そのため、以前ではありえなかった値段で集団生活可能な民泊を確保でき、今回の構想が実現しました。コロナのおかげですね」
コロナ禍に苦しむ人が多いなか、その危機を逆手にとって“ニューノーマル”ならではの集団生活の形を構想したといえよう。こうしたコンセプトのシェアハウスはまだ数も少なく、成功すれば新たな暮らしのモデルケースになるかもしれない。
「まだメンバーは少ないですが、もっと多くの人を巻き込んで活気ある渋家にしていきたいです。クリエイターは特になのですが、テレワークの普及でどこでも仕事ができる時代になりつつあるので、興味のある方はぜひ声をかけてください」
最後に、今後の渋家に関する展望を聞いた。
「将来の結果を考えて動いてはいません。今を全力で生きることしか考えてないですね。ただ、これまでの渋家には家という場所があったからパーティーがあったように、場所が変わればコミュニティも変わる。今後は場所の持つ可能性を追求していきます」
<取材・文/齊藤颯人>
<撮影/藤田直希、齊藤颯人>