低精度の抗原検査、入国者の体調確認は自動発信のLINEだけ? 水際防疫のザルさが恐ろしい

入国者の体調を聞き取ることは不可能

 空港検疫の担当者が「毎日連絡をして、体調などをチェックしている」と言うので、知人にそのことを確認すると、入国した日に確認されたが、それから帰国の直前まで連絡をもらったことは一度もないとのことでした。しかも、その連絡というのは「LINE」で自動的に配信されてきたものだけで、人によってはメールの場合もあるそうです。つまり、職員が一人ずつ丁寧に確認しているわけではないということです。こうなってしまうと「ちょっと体調が悪くなってきました」という返信をしても、ちゃんと対応してくれるのかどうかが、ものすごく不安です。
LINEの自動送信で来る体調確認

LINEの自動送信で来る体調確認

 しかし、それこそ「LINE」で自動的に送るだけであれば、自動的に毎日送ればいいのではないかと思うのですが、その「LINE」の連絡さえ、入国した日と出国する直前の2回しか送られてこなかったというのです。
LINEの自動送信で来る体調確認2

LINEの自動送信で来る体調確認2

 それだけではありません。別のケースでは「症状があるか」を聞かれ、間違えて「はい」をタップしてしまったそうなのですが、自動的に「より詳しいご相談をされることをおすすめいたします」と言われただけで、何の連絡も来なかったそうなのです。幸いにも、この方は間違えて「はい」と答えてしまっただけなのですが、症状があると答えても、その後のフォローがないというザル加減。これはもうオペレーションそのものは破綻しています。  実際、入国した人に連絡を取り、体調を聞くということは「物理的に不可能だった」と考えられます。というのも、2021年1月1日から1月21日までの約3週間で入国した人は約5万5000人もいました。空港の職員なり、保健所の職員なりが、毎日毎日、この人たちに電話をかけ、健康状態を確認することは不可能。つまり、ほぼ野放しの状態になっていたのです。  これは「空港職員の気合いが足りない」という話ではなく、そもそも物理的に不可能な設計になっているため、表向きは全員をチェックしていることになっているけれど、その裏ではまったくチェックできていなかったということになります。設計そのものがザルになっているということです。

変異株は着実に日本に入っている

 山梨県では、2月12日にブラジルに渡航歴のある男性が、ブラジル型の変異株に感染していたことが分かりました。接触者1人が感染していたことも分かり、現在、国立感染症研究所で分析しているといいます。  この男性はブラジルから帰国した際、検疫では「陰性」だったため、自宅で隔離生活を過ごしていたそうですが、2月上旬に発症したため、検査を受けたということです。  新潟県燕市では、2月12日に保育園の関係者6人が集団感染していることがわかり、10代未満1人、10代2人が感染しているといいます。従来の新型コロナウイルスでは子供が感染するのは珍しいため、新潟県の研究所で検査したところ、変異株の可能性が示されたといいます。  このほか、イギリスに渡航歴のない滋賀県の女性、兵庫県の10歳未満の女児と30代の男性などが変異株に感染していることがわかっています。日本では既に100人以上の変異株感染者が見つかっています。
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変異株の脅威は未知数
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