一方で、開催に反対と回答した727人に理由を聞くと「新型コロナ感染症が収束しない現状では時期尚早だと思うから」(355人)や「五輪を開催することで感染拡大する可能性が否めないから」(229人)と、賛成派に比べて対策云々よりもコロナ自体への危機感が高いことが伺えます。
とはいえ、「東京都および国の新型コロナ感染症対策や五輪運営に不安があるから」(78人)といったように対策への不安に、都や国がアプローチできていない現状も見えてきます。
神奈川県在住の武田さん(30代男性)は筆者の取材に対して、「数多ある競技で、こないだのテニスの全豪オープンでの混乱のようなことが起きる可能性があるから」と話します。開催期間中にロックダウンが宣言され、急遽無観客に変更されるなどの混乱が生じた、先日のテニス全豪オープンは記憶に新しいところです。
さらに武田さんは「準備してきた選手が可哀想ではあるけど、準備できない選手はもっと可哀想。比較的大丈夫な国とそうでない国の格差もあり、フェアな大会にできる可能性も低いからです」とも。世界中から選手の集まる大会であるため、武田さんのように、日本国内の感染状況だけでなく、世界的な収束が先だと考える方もいるようです。
東京都在住の綾部さん(20代女性)は「精神的な面も含め、ある程度は開放的になれたら開催しても良いかと思います」と、中途半端な開催を避けたいとの理由を話してくれました。さらに綾部さんは「オリンピックを思いきってやるのであれば、その後も自粛要請等で制限するようなことはやめてほしい」と、五輪の開催によって感染が再拡大しコロナとの戦いが長引く懸念も示しました。
とはいえ、アスリートや関係者の準備と思い、それに経済効果があるのも事実。そこで「どういう条件下なら開催可能と思う?」という質問もされています。これに対しては、反対派が多数であるため「何をしても安心できないのでとにかく開催すべきではない」が419人で最多となりました。
開催を視野に入れた中では「無観客での開催」(227人)といった五輪の運営としての対策だけでなく「開催までに感染者数が一定の人数以下になること」(134人)といった、国全体の状況を鑑みた決定も望まれているようです。
「海外の方が来ることによってまた医療体制が更にひっ迫すると思われるので、医療従事者のことを考えると反対です」と話す井沢さん(20代女性)は、条件について「海外の方が多くこられることで、医療体制の逼迫が考えられます。なので、それを拡充することと、入国者の追跡を他国のように本当に厳しく取り締まりをすることですかね」といいます。
ただし、井沢さんは「本音を言えば、反対ではなく延期にしてほしいんですけどね」とも。反対と回答した人の中にも、東京でのオリンピックは実現してほしいと願っている人は多く、反対という意見も、苦渋の回答であることがわかります。
ワクチンの接種が本格的に始まると、また国民感情には変化があるかもしれません。開催ありきではなく、そうしたあらゆる状況を踏まえて、決定が下されることを願います。
<文/Mr.tsubaking>